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EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~  作者: 青空顎門
第二章 ガイノイドが管理する街々

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080 共生の街

「内容としては、依頼の通り。この街の近郊で発見された迷宮遺跡の踏破じゃ。しかし、可能なら遺跡の中枢は破壊せず、機能を一時停止させるに留めて欲しい」

「えっと、それはどうしてですか?」

「理由は……すまぬが今は言えん。依頼を達成できたならば、話そう」


 マグの問いに、申し訳なさそうに俯き加減で答えるタリア。

 何やら込み入った事情がありそうだ。


「私達の不利益になるような理由ではないのですよね?」

「それは勿論じゃ。そのことで迷宮遺跡探索に障害が発生する訳でもない」


 目元のディスプレイを黄色く染め上げて警戒を示しながら問いかけたアテラに対し、彼女は落ち着いた様子で頷いて即答する。

 誤魔化そうとしているような気配はない。

 アテラ達に視線をやると揃って首肯する。

 どうやら人間よりも高性能な彼女達の目から見ても確かなようだ。

 そういうことであれば問題はないだろう。


「それで、迷宮遺跡の場所はどこなんですか?」

「この緑化地帯の中心。恵みの森の中じゃ」

「恵みの……森?」

「え、ここって森まであるの?」


 驚きと共に尋ねたドリィに、タリアは「うむ」と首を縦に振って応じた。


「この共生の街・自然都市ティフィカは、緑に溢れた環境の中で緩やかな暮らしを行うことをコンセプトに作られておる。……いや、いたと言うべきじゃな」

「どういうことですか?」

「それは……まあ、街の者と接すれば嫌でも分かるじゃろう」

「……私達が住民と会っても問題ないのですか?」


 首を傾げながらアテラが問う。

 街に到着した時には裏門に回され、中に入れば塀に囲まれた場所から建物へ。

 来訪者を衆目に晒さないようにしていたとしか考えられない状況だった。

 彼女の質問はそれを念頭に置いたものだろう。

 

「迷宮遺跡の場所が大分分かり辛くてな。地図アプリでは見つけられぬ恐れがあるのじゃ。故に案内人をつけることになる」


 成程と理解する。

 森ということなら現地の者の案内は必要だ。

 最低一人とは顔を会わせることになる、ということらしい。


「街の中は見ちゃ駄目なの?」

「こちらで用意した服に着替え、出土品(PTデバイス)を使用しなければ()()()()()構わぬ」


 タリアは一部強調するように言いながら、アテラへと顔を向ける。

 どことなく気まずそうだ。


「すまぬが、お主はここに留まって貰いたい。お主の姿は少々刺激が強過ぎる」

「……そうですか」


 特に何も感じた様子もなく頷いたアテラは、マグを振り返って再び音声を発した。


「旦那様、私はここで待っています。ですので、もし見学をしたければ――」

「いや、別にいいさ。アテラと一緒に行けないのなら」


 タリアに対する態度とは対照的に謝るように告げた彼女の言葉を遮って言う。

 興味はなくはないが、結局のところはスローライフという奴だろう。

 砂漠の中でのこの状況は想像を超えていたが、そこでの生活様式が想像から逸脱するということはさすがにないはずだ。

 しかも見た感じ、最低限ネットが完備した生活以外考えられなかったマグなどお断りのガチ勢のような気配すらある。

 こういう場合、無駄な接触は価値観の違いから無用の軋轢を生みかねない。

 仕事だけこなし、とっとと去った方がいい。


「アタシも別にそこまで興味はないわ」

「フィアもです!」


 ドリィはひらひらと手を振って、フィアは元気よく手を挙げて言う。

 マグの言葉と二人のそんな様子を受け、アテラは心なしか嬉しそうだ。

 ディスプレイも淡く緑色に光っている。


「……そうか」


 対してタリアは、どことなくホッとしたような声を出す。

 この反応。

 理由を言えない何かしらの事情とやらが関わっていそうだ。

 それから彼女は姿勢を正して言葉を続ける。


「案内人の準備もあり、迷宮遺跡へと向かうのは明日になる。今日はここに泊まって貰うことになるが、構わぬか? 勿論、食事はこちらで用意させて貰う」

「ええ。問題ありません」

「うむ。では、また明日じゃ」


 そうして翌日。

 世話役らしき少女に呼ばれ、客室から再び拝殿のような部屋へと向かう。

 既に待ち構えていたタリアの傍らには、一人の男性の姿があった。

 黒髪はボサボサで口の周りは無精髭。

 それに反して肌が汚いということはなく、特別日焼けしている感じもない。

 何となく環境に対してチグハグな印象を受ける外見だ。


「この者がお主達の案内人を務めるウィードじゃ」


 タリアに紹介された彼は、アテラを見て露骨に顔をしかめながら舌打ちをした。

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