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004 導く何者かの気配

 ともあれ、草原の只中に留まり続けても仕方がない。

 男はそう判断し、移動の指針となる何かがないか改めて周囲を見回した。

 すると、すぐ傍に場違いなものが立っているのが視界に映った。


「は? で、電光掲示板?」


 草むらの中で簡素なディスプレイが明るい光を明滅させている。

 唐突に出現した場違いな人工物に、思わず戸惑いの声を上げてしまう。


「先程まではなかったはずですが……」


 ガイノイドのアテラが全く気づかなかった以上、突然現れたと見るべきだろう。

 そこには丸い何か――矮小化した地球と思われる――に立つ人が映っている。

 男達がそうと認知したのを認識したかのように。

 次の瞬間、人の姿がパッと消えると地球がスライドして画面外にはけていった。

 かと思えば、似たような円が逆側から徐々に現れる。

 別の星を意味しているのかもしれない。

 それがディスプレイの中心でとまると、その上に先程消えた人が突然出現した。


「わ、私達の現状を知らせているのでしょうか」

「そう結論するには情報が足りないな」


 男が困惑気味なアテラの問いかけに慎重な答えを返していると、電光掲示板は勝手にパタンと倒れて表示を矢印に変化させた。

 更に矢印の向きを強調するように、図を四分割して根元から明滅を動かしている。

 どうやら、その方向に進めと指示しているようだ。


「旦那様、どういたしましょう」

「……どうもこうも判断材料がなさ過ぎる。けど、この指示を出している何者かは俺達がここにいることを認識しているはずだ」


 男の常識の範疇にない何かによって、この電光掲示板は設置されたのだろう。

 指示に従うことで状況が好転するとは限らないが、逆もまた然り。

 むしろ何者かの反感を買いかねない行動は得策ではないかもしれない。

 故に――。


「行くしかないだろう」

「はい。どこまでもお供いたします」


 男は隣にアテラを伴って矢印の方向へと歩き出した。

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