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第9話 初日

「ずいぶん表記が違うのね、」とナナミは冒険者カードとセレブレティカードを見比べていた。


 基礎知識はフレイア様のサポートがあるとは言え、さすがに冒険者に関しては範囲外だろうと思って、

 簡単にナナミに説明してみた。

 まず、冒険者のランクだが、


 Sランク:神級 勇者、大賢者等、 スキルレベル 10以上

 Aランク:帝級 英雄、賢者等、  スキルレベル 8~9相当

 Bランク:上級 剣豪、魔導士等、 スキルレベル 7~8相当

 Cランク:中般 剣士 導師等、  スキルレベル 6~7相当

 Dランク:一般 称号無し、    スキルレベル 3~5相当

 Eランク:初級、         スキルレベル 1~2相当

 Fランク:見習い         スキルレベル 1~2相当

 Gランク:駆け出し        スキルレベル 1~2相当


 となっている。15才にしてAランク相当のスキルレベルを持ってるなんてさすが聖女。

 まあ、この大陸で一番、光魔法の魔力の強い人が聖女となるので、レベチは当たり前なんだけど。

 E~Fは、ランク分けはされてるものの実は力的にそれほど差がない。子供のお使いと同レベルの扱いだ。 依頼も薬草採取や運よく拾った魔石やアイテムの買い取り、そのまんまお使いだったり、掃除、探し物等になる。 


 そんな低ランクの冒険者に貴重な鑑定の魔道具(上位版)など使わない。

(劣化版)での鑑定となるため、それほど詳細な結果が表示されないのだ。


 Gランクでの登録は銀貨5枚で5000ギル。

 Cランクへの登録は金貨1枚で10,000ギル。

 その他のランクアップは費用は掛からない。


 下町で暮らす家族の平均収入が金貨5枚で50,000ギル。鑑定はなかなかお高いのだ。


 ちなみに貨幣は、


 鉄貨               約1円

 銅貨   /鉄貨10枚      約10円

 銀貨   /銅貨10枚      約100円

 純銀貨  /銀貨10枚      約千円

 金貨   /銀貨100枚     約1万円

 白金貨  /金貨100枚     約百万円  


 穀倉地帯ということもあり、庶民の食料品は比較的安価で手に入るが、香辛料やお酒は高い。

 パンや串焼き、野菜等は銅貨数枚で買えるけど、塩、コショウは純銀貨が数枚必要になるという具合だ。


「ふうーん、そうなんだ、分かった、ありがとう。ところでさ、ダイチって普通に歩き回ってて平気なの? 仮にも男爵家の後継ぎだよね。」


「多分、問題無いと思う。俺はすでにシュバーツェンを出てることになってるはずだから、門番の書類にちょっと細工をして、南門が10分程、誰もいない状態になっていたから、そこから他の街に行ったと思ってるんじゃないかな? 灯台もと暗しのほうがばれないかなと思って、家も用意したんだ。」


 ふんふんとうなづきながら、チョロいだけではなかったダイチに少し安堵したのは内緒・・にしなくても別にいいかな。


「そっか、じゃあ、それはそれとして、私、寝てもいいかな、さすがに疲れた。少し考えたいし、」


「もちろん、いろいろありすぎたからね、そっちの部屋にベッドがあるからそこを使ってね、俺はここで寝るよ。」


「おやすみなさい。」 「うん、おやすみ。」


 ふたりはそれぞれ眠りについた。


 安らかな夜の帳に包まれ、

 明けて、翌日、地獄の(ダイチにとって)トレーニングが始まった。


 眠い中、無理やり起こされてあくびをかみしめながら、服を着替える。


「遅い! もっとキビキビ動く。 初日だからと言って怠けているのはよろしくない、点呼を取る。

 1。」


 ・・・二人しかいないのに、点呼って何?


「返事が無い! もう一度だ。1。」


「・・・2。」


「これより、ランニングに出かける。ついてこい。」


 まだ、暗いんですけど・・・


「何をもたもたしている。あまり遅いと周回数を増やす。嫌なら歯を食いしばってついてこい。いいな。いくぞ。」


 走り出して5分。ゼイゼイと息があがる。おかしい・・・ こんなはずでは、

 そして、お胸が痛い。うかつだった。

 サポートブラなどないのだから、そのボリュームで走ったらそりゃあ、痛いだろう。


 真っ赤な顔をして、足がもつれそうになりながらも懸命に走ろうとしている。

 自分の持つイメージと、待っている肉体がアンバランス過ぎるのだが、なかなか現実を受け入れられずにいる。


 ナナミを生暖かい目で見守りながら、どうしようかと悩んでいる。


「そこまで無理しなくても・・少しづつでいいんじゃないのか?」


「つ・・か・・まった・・ら・・おしまい・・なんだ・・よ。」

 ハアハアと荒い呼吸の合間で必死で言葉をつなぐが、気力だけでは、無理なものは無理。


 崩れるように手をつき、うずくまり、ポケットからポーションを取り出し、一気に飲み干す。


 激しく上下していた肩が、ゆっくりとした動きになってきて、


「これで、まだ走れる。」と、起き上がり走ろうとする。


「やめろよ、何やってんだよ、体を痛めつけて何するんだ。」


 心配して思わず大きな声を出してしまったが、言われたナナミはキョトンとした顔をしてる。


「何って、トレーニング、だけど、」


「そんなやり方は、間違ってる、やめろよ!」


 いくら命を守るためとはいえ、これじゃあ、命を削ってるのと同じじゃないか! 見てられない。


「でも、フレイア様も小さいころ、魔力が枯渇する寸前まで使ってマナポーションを飲んで、もう一度、ギリギリまで使うと、飛躍的に絶対値があがるって言ってたから、こっちの世界の人の鍛え方って限界まで絞り込んで、ポーションで回復させて数値をあげるんじゃないの?  私だって、こんなやり方無茶だと思うよ、日本ならね、体が仕上がる前に疲労骨折だよ。」


 聖女様、まさかのスパルタ教育でした。

 そして、田舎貴族の甘さを叩き込まれた初日となりました。




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