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第8話 冒険者になろう

なんでいきなり冒険者?


俺がリアクションもとれず固まっていると、


「これから、どうしたらいいかまだ良くわかんないけど、今の私は命を狙われていて、何の力もない。このまま、しばらく隠れているにしたってお金もかかるし、何よりこの体、体力無さすぎ!ありえない!魔力の使い方も良く分かんないし、魔力が尽きる前に体力つきてたら、ダメじゃん。」


 健全な魔力は健全な肉体に宿る。 体育会系な七海さん。


「ダイチに頼るのもいいけど、最初は、そりゃあ頼るしかないんだけど、やっぱり、自分の事ぐらい自分で面倒みれないとさ、それになんかあって逃げるにしろ何の抵抗も出来ないのは嫌だ!」


迫力に押され、何も言えないダイチ。


俺が守るよ!  そんな自信も根拠もないから何も言えない。 


普通の生活をするだけならいくらでも手助けできるけど、もし、命を狙うものに襲われたら何も出来ないだろう。魔力も武力も人並みで、優れてるとは言い難い。

そんな事は良く分かっている。


それに生活するにはお金がかかる。これ大事!

何もせず隠れ続けていれば、いずれお金も尽きる。

何もせず、ずっと同じ場所にいれば、どうやって生計を立てているのか周りの人達も不審に思うだろう。

かといって、転々と場所を変え隠れ続けていても、その先の展望が何も望めない。

死ぬまで隠れ続けるのか……?


黙り込んだまま、考え込んでしまったダイチに、


「大丈夫、なんとかなるよ、お金が貯まったら出て行くから、それまではここにいていいかな?一人で生きていく術を身につけるためにも何かしないとね。」


そう言って、にっこりと笑う。

自分よりも年下の少女の切ない決意。


誰も頼れず、少女一人の力で何とかなるほどこの世の中は甘くない。


それでも、自分の身の上を嘆くことなく、誰を恨むこともなく、まっすぐに前を向いて、進んでいこうとする強さ。


ああ、やっぱりこの人は聖女フレイア様と魂を分かち合う人なのだと思う。

俺はついさっき、フレイア様にかなう限りの助力をすると約束したのではないか?  

舌の根も乾かぬうちに自分の言葉を反故にするのか?


いや、そんな事より男として、人として彼女を見捨てるような真似など出来るはずもない!


「俺も一緒に行くよ!(王都まで)ナナミさんの力になるよ。」


「ありがとう。じゃあ、早速明日、冒険者登録してダンジョン行こうね。」


満面の笑みを浮かべるナナミとポカンとアホ面をして固まるだダイチがそこにいた。


「え…と、俺達が行くのは王都…「ダンジョン!」」

「おう…「ダンジョン!」」

「…「ダンジョン!」」  


行き先が決まった。

やっぱり、ダイチはチョロかった。 


「ここから一番近いダンジョンでも馬車で一週間位かかるけど、どうするの?」


「まったくもって問題無し!、いくら私でもこのまますぐに向かうような真似はしないわよ。だいたい今の体力じゃ馬車で移動するだけでも厳しいもの。よって明日から早朝ランニング、柔軟、筋トレ、体幹を鍛えないと満足に動くことも出来やしない。基礎体力を整えながらこの世界にも慣れていかないといけないし、やること多いわね。一緒に頑張ろう!」


「えっ、俺も…、」 思わず後ずさるダイチ。

「当たり前でしょう! 体力、魔力、技術力、精神力、この先、刺客が襲ってきても大丈夫だと言えるのかしら、ううん?」


何も言い返せなかった。


ナナミは自分の見た目には何の問題も無い。だが、100m全力疾走もしたことがないこの体は大問題だった。


つい昨日まで、日夜現場を駆け回り、徹夜上等で過ごしていたのに、こんなに体が重いなんてありえない。特にお胸、聖なるなにかが詰まっているのか、かなりの盛り上がりをみせている。しっかりとした弾力があり、みずみずしく…って違うわ! 邪魔よ! 


いや、あってしかるべきだがここまでなくても良かったのに、と一人迷走しかけたナナミの横で、刺客に襲われる、もし、そうなったら、ナナミを守るどころか、自分の身も守れないだろう、どこか他人事で危機感が薄かったのかもしれない。生き抜く力を身につける。ナナミの言ってることは正論に思えた。


「わかった、俺も頑張るよ、」


「あっ、そう、そうよね、」 しっかりとナナミが現実に戻ってきてこう言った。


「じゃあ、早速、冒険者ギルドに行って冒険になろう!…あれっ、ギルドで登録って出来るのかな、私のカードってもう、あるよね?」


「大丈夫だよ、身分を詐称するのは犯罪になるけど、元々、この町から出ない人達はカードを持っていない人もいて、冒険者になったり、街を出る必要になった時にカードを作る人も多いんだよ。お金がかかるからね。」


どうせ、身分を隠すのにカードを作ろうとは思っていたので、そのまま冒険者ギルドに向かって、登録してもらう。


【冒険者カード・ブロンズ】


名前:ダイチ(18)

種族;人族

ランク:F

拠点:シュバーツェン

スキル:鑑定  

アイテムボックス


【冒険者カード・ブロンズ】

名前:ナナミ(18)

種族;人族

ランク:F

拠点:シュバーツェン

スキル:光魔法 


カードに偽造防止のための血を一滴垂らして、登録完了。


受付のお姉さんが二人共登録の時点でスキル持ちなので、上位鑑定をしてみませんか?と勧められたが、手持ちのお金に余裕が無いとお断りさせていただいた。


Lv,5や8のスキルなど登録出来る訳が無い。

まあ、それなりの値段ですしね、と納得してくれたが、Lv,3以上だと上位パーティから声がかかることもあるから、お金が貯まったら是非、してみて下さいと強く勧められ俺達は家に戻った。

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