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第75話 フレイアとナナミ

 とりあえず、カイルの居酒屋初日は無事に終わり、街での評判も上々だし、カイルも念願の居酒屋がオープン出来たことで一応は満足したようだ。


 皆でワイワイ、ガヤガヤ楽しくという雰囲気では無かったが、不満ばかりあげてもキリがない、まずは一歩前進したことで良しとした。


 カシムさんをリーダーとした自警団も編成しないといけないしな、張り切り過ぎるナナミにばかり任せておくとろくなことにならない、…ような気がする。


 そんな一抹の不安を抱えていたが、自警団の宿泊所、コーバン、街への出入りの要所である門をイリアン、イルガーと一緒に見て回り、滞りなく業務が行われている様を自分の眼で確かめ、責任者でもあるナナミとカシムに採集確認をしようと思ったが、見当たらず、探しているところだ。


「ずいぶんと自警団の任務は整理されてるようだね」

「そうだな、カシムさんは聖教会で警備をしていたみたいだし、ナナミもてきぱきと役割を振ってくれたからやりやすかったからな」


 自警団の選抜から一緒にいたイリアンがその後も動いてくれてたので、だいたいの話は聞けるのだが、ナナミ達はどこ行ったんだ?


「なあカイル、もしかしたらなんだが、あの二人は街の外かも知んねーぞ」

 イルガーは、どことなく気まずそうな感じでカイルに話しかける。


「街の外って、なんで?」

「なんでだかは知らねー、けどな、時々二人で街の外に出てるみてーだからさ、門番にきいてみよーぜ」


 確認をしてみると、確かに二人は一時間程前に出て行ったそうだ、だいたい2~3時間ぐらいで帰ってくることが多いらしい。


 帰ってきたら、二人で屋敷の戻ってくるようにと門番に伝言をして屋敷に戻り、しばらくするとナナミとカシムが部屋に入ってきた。


「カイル、私達の事探してたんだってね、ごめんね、何も言わずに街の外に出ちゃったから、最初はわかんなかったでしょう?」


「そうだね、でも、イルガーさんが教えてくれて門番に確認しに行ったから、そんなに探し回った訳じゃないから大丈夫だよ、それより自警団の皆が、もう組織だって動き出してたから驚いたよ、大変だったんじゃないのか、ありがとうな」


「あー、それはね、カシムがほとんどやってくれたの、王都での経験もあったからね、流石だよね」


「まあ、俺が流石なのはわかり切ったことだから、どうでもいいんだが、あの、コーバンって奴はいいな、ああやって街に居場所をつくるのはいいと思うぜ」


 自画自賛しても、余裕がある大人っていいよな、ドナーテルさんとはタイプが違うけど二人揃ってイケメンで、実力もある大人の男って感じだよな、アダムさんも割と整った顔してるんだけど、二人と比べちゃうとな、ランク落ち? 中身の問題なのかな? 俺的にはアダムさんのほうが親しみやすいけどな。


「あー、でね、カシムが話があるんだって」


 チラリとカシムの顔を見て、カイルから視線を逸らすナナミ、

うん? どうかしたのか。


「俺は気取った言いまわしとか苦手なんで、はっきり言わしてもらうとだな、いずれ王都の大聖教会から追手がかかるぞ、聖女は大陸随一の光魔法の保持者で、死ねば教皇陛下が持っている魔道具でわかるらしいが、フレイアの死亡確認は取れていないんだよ、だから、生きていたら必ず又、命を狙われるぞ」


 ナナミ、いや、フレイア様が命を狙われてるのは知っていたが、このところフレイア様の気配もあまり感じないので、なんとなくこのまま、ミハルやシンさん達とやっていけるような気がしてたけど、やっぱり俺って甘いんだな。


「そうか、でもなぜそんなにナナミは命を狙われなきゃならないんだ?」


「ああっ、そんなん決まってんだろうが、こいつの姉が聖女の座を狙ってんだよ、で、こいつがいなくなりゃ自分がって思ってるんだろ、クソビッチが聖女になったらこの国も終わりだな、はっ」


「そうなの、姉と母は私が聖女なのが気に入らないのよ、別になりたくてなった訳じゃないのだけれど、聖女はこの大陸で唯一の存在でしょう、私が生まれるまではフレイムニル家の後継ぎだと周りから大事のに育てられていたのに、私が聖女の認定されてからは周りの眼が自分に向かなくなったのが気に入らなかったみたい」


「そんなことで、か」


「そんなことじゃねーよ、カイル、そいつにとって何が一番なのかは人それぞれだろう、あんただってご領主様のクセに、なんで居酒屋なんかやる必要があるんだ? お前にとっての一番は人に決められるようなものなのかよ」


 そう、…だな。何が一番、かはその人次第だよな。


「こいつは聖女だ、それは間違いない。髪の色を変えたぐらいでわからん訳が無い。だがな、カイル、こいつはフレイアなのか、ナナミなのか、どっちなんだと思う、お前は?」


 ……どっち? 今までにも考えたことはあったが結論なんか出なかったよ。


「俺はな、陛下から聖女を守れと言われている、大聖教会からは聖女のフレイアを殺せと言われたから近衛なんかやってらんねーよって飛び出してきたんだ、わかるか、カイル? 大聖教会が探してるのは聖女のフレイアなんだ、ナナミなんて奴は知らねーんだよ」


 それって、もしかして……、


「もう一度聞くぞ、カイル、こいつはフレイアか、ナナミか、どっちんなんだ?」


「ナナミです!」


「わかった、じゃあ、こいつはナナミだ、それでいいな」


 俺は大きく頷いた。


「じゃあ、フレイアは殺してもいいよな?」





 ……はい?



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今日もギリギリ本日中の投稿になりました。ストックが欲しいな。


”悪役令嬢は婚約破棄からやり直しループエンドを目指します。~ハーレムルートは誰得ですか?・・やっぱり悪役じゃなきゃダメですか?”

 ☝

こちらも、現在連載中ですので、お立ち寄りいただけると嬉しいです。



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