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第37話 新たなスキル獲得

フレイアが持つ聖女の光魔法:【解呪ディスペル】の前に、魔石に刻まれた【隷従オーバースレイブリィ】が砕けた。


「あ、あり得ない、あの方が刻まれた【隷従オーバースレイブリィ】の刻印は、Lv,6なのよ。それが、それが、」


「あり得ないって言っても、アリエールでしょう、今、自分の目で見たんじゃないの、事実も認識出来ないバカなの?」


のたうち回っていた蛇人は、地に伏してピクリとも動かない。両目、両耳から流れ出ていた血も止まったようだ。


わなわなと震えていたエリナは、引き攣った顔でバーサックを見上げる。

「どうすんのよ、蛇人の【隷従オーバースレイブリィ】は、外れちゃったから、あいつはもう、役に立たないわよ、早く、次のを召喚してよ、ねえ、なにグズグズしてんのよ、早くしてったら!」


「はあ、相変わらず勝手な方ですね、私にあなたを守る義務などないのですよ、お分かりですか?」


「な、なにを、言って・・」

くつくつと笑うバーサックにとって、エリナは蛇人と同じく、不要なものとなっていた。


「私、一人なら逃げられるという事ですよ、頭が悪いと言うのは可哀そうなものですね。」

そう言いながら、エリナをドンと前に突き飛ばし、障壁バリアを張った。


「なにすんのよ、開けなさいよ!ねえ、」

なりふりかまわず、バリアを叩き、手が赤くなっている。


あまりにも自己中でしかない二人のやり取りに、ナナミの怒りがふつふつと湧き上がってくる。そして、傷つき倒れ伏した蛇人の姿を見て、改めて怒りを覚えると、プツンと何かが切れた。


《ギフト:狂戦士ベルセルクも発動条件が整いました。しいたげられしものによる怒りによって、新たなスキルが取得可能です。・・・取得いたしました。発動いたしますか?・・・了解致しました。・・発動します。》



【ギフト:狂戦士ベルセルク、ギフトスキル:ちゃぶ台返し】



説明しよう、ギフトスキル:ちゃぶ台がえしとは、

怒りに任せて、その場の状況テーブルを、力任せにひっくり返し、気に入らないものをなかったことにするものである。ふざけた名前のクセに、効果的、かつ狂暴である。

ナナミのギフト:【狂戦士ベルセルク】は、怒りによって発動し、新たな強い怒りを覚えるとスキルが増えるのだ。


その場にいた、全員が呆然としている、そんなスキル聞いたことない!!


今回、ナナミによって気に入らない認定されたものは、“魔力”だったので、ナナミを除く全ての魔力がゼロになったのだ。

ちょっと、すかした感じのバーサックまでもが、驚いた顔をして自分の手のひらを見つめ、慌ててステータスの確認をするのは見ていて、実に気持ちが良かった。


「ふふん、どうよ、新スキルのお味は?」


「なんかさ、さっきまで私ら無視されてたみたいだけど、勝手なことばかりしないでね!」


ビシッと左手は腰に、右手の親指と人差し指で拳銃の形を真似て、狙いを定める。小首を傾げてポーズを決めるナナミ。だが、残念なことに今はこの状況を理解できていないものばかりだったので、ナナミのポーズに気を払う者は誰もいなかった。


「おいおい、ナナミ、いや、師匠、今、何やったんだよ? あの二人は捕まえなくていいのか?」


「あー、あの二人ね、あんた達、今なら見逃してあげるから、さっさとどっかに行きなさい。」


何が起こったのか分からないままのエリナを促し、何もなかったかのように歩き出すバーサック。ナナミと猫又達に優雅に一礼し、イルガーと蛇人は無視したまま、ゆっくりと玄関を開けて外へ出て行く。つまづきながら後を追うエリナとは対照的に、服の乱れも無く貴族に仕える執事にふさわしい振舞のまま、その姿が遠くなっていく。


「なあ、師匠、なんで見逃したんだ? 捕まえることも出来ただろ。」


「うーん、はっきり言えないけど、あの男、まだなんかあるよね、なんだろ、底が見えないっていうか、姫子ちゃんとハットリくんもそう思うでしょう?」


「そうにゃ。隙がなさすぎるのにゃ。ナナミのギフトの力でもあいつの魔力はゼロにならなかったのにゃ。おそらく1割くらいは残ったのにゃ。」

「ギフトの力はかなり強力にゃ、それを上回る力は確実なのにゃ、最低でもLv,6以上の実力はあるはずなのにゃ。」


Lv,6は軍隊ならば、中隊長~大隊長クラスになる。国家の中堅クラスの実力なのだ、それ以上ともなれば各国に名を知られる国家戦力レベルだ。


やっぱり、二匹も同じように思ってたんだ、二匹とも動きだしそうな気配のまま、結局何もしなかったし、それに私のギフトで魔力を削られても、余裕がありそうに見えた、そうよ、追い詰めたはずなのに、あいつのあの目、殺すことも、自分が死ぬこともどうでもいいような、そんな目をしてた。


・・・あの時、あの新宿で、追い詰めた、もう捕まえることが出来ると確信していたのに、結果は逃げられ、私は死んだ。あの時の男と一緒、喚くでもなく、あきらめるでもなく、冷静に見えるのに目の奥にゆらゆらと炎が燃えているような、そんな感じだ。


はっきりと言葉にするほどの確信はないが、なにかある、そう強く感じたのだ。


「ナナミ様の判断は正しかったのにゃ。あの二人が死んだり、無理やり拘束したりすればこの屋敷は爆破されたのにゃ、眠らされている使用人達はおそらく、助からなかったのにゃ。」


戦闘能力は無いが、本当は頼れるおとこ、サイゾーくんだ。


この屋敷の敷地全体にいろいろ術式が組み込まれており、それらを探索していたのだ。


「さすがなのですにゃ、サイゾーくんは。」


「姫子が攻撃を迷う時点で、あいつは普通じゃないのにゃ。」

一撃必殺の姫子、仲間の信頼は高い。




お読みいただきありがとうございます。


なんか、バーサックって渋いおじキャラになってる? あれ、そんな設定だったけ?


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1日1話、更新していく予定です。


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