第33話 ダイチは眠るよ、どこまでも、
「ダイチ、焼き鳥サイコー!、超ー美味しい!」
懐かしい味にナナミのテンションも高い、
「うーん、ワインと合わせるとちょっと濃い感じだけど、これ好き!甘くてしょっぱいの、こんなの初めてだよ。」
「ショーユはおにぎりでも食ったけど、確かにあれより甘いな、うめー。」
「これもいいけど、俺は七味だな。」と、イルガーさん、
「タレにも七味は合いますよ、」
「まじか?、本当だ、甘辛くて、これはいいな、ビールがすすんじまうよ、」
時々、イリアンが、ナナミのポヨンポヨンとした胸に釘付けとなり、アナに冷たい眼で見られたりといったことはあったが、わいわいと盛り上がり、夜も更けていく。
やっぱ、焼き鳥強えな、お酒も合うし、しょう油ダレも好評、七味は好き好きあるが次はマヨネーズも試したいしな、マヨも似たようなのはこの世界にもあるけど、まず新鮮な卵がなかなかないからお貴族様用なんだよな、でも、日本食はここでもいけるみたいだし、居酒屋までの第一歩だよな、よしよし、
のほほんとダイチがほろ酔い気分になっていると、猫又達が辺りの警戒を強める。酒に酔った弛緩した空気にわずかながらの殺気がこもる。
気配察知に優れた虎人族のイルガーがその雰囲気に気付く。酒と肴を楽しんではいたが獣人族の上位種族とされる半神半獣の猫又達が一滴の酒も口にしていないと気が付いてから、自分も酒を少し押さえていたのだ。
猫又達の警戒レベルが上がったのを敏感に察知したイルガーは、
「あー、くった、くった、俺はもう満足だよ、お前らはどうだ?」
その一言をきっかけにお開きモードへと移行する。
「じゃあ、そろそろ帰るか、ダイチ、ごちそうさま~美味かったぜ、」
「美味しかったー、ヒック、 また、やろうね、ロック、バァードのおにきゅ,取ってくるからねぇ、 ヒック、」
「そうじゃのう、あとは、うちでゆっくり飲み直すかのう、」
じゃあねー、と言って帰っていく三人、と残る二人、虎人族のイルガーと巨人族のドローウィッシュだ。
「なんで、お前帰んないの?」
「・・・お前と、おなじ、」
相変わらずだな、こいつは、無口であまりしゃべらないが周りをよく見ている、信頼できる仲間だ、あれ位の酒じゃこいつにはきいてねんだろうな、と見上げる。1メートル95センチはあるだろうイルガーが見上げて話す巨人族のドローウィッシュは2メートル30センチだ。
「あれっ、二人共帰らないの?」
「さんざん飲み食いしたからな、片付け手伝うぜ、」
「・・・・手伝う。」
別に気にしなくていいのに、見かけによらずいい人達なんだよな、
あれっ、なんか、す、げー,ね、むい・・
ふん、やっと、きいてきたか、 最後の晩餐だと思えばバカ騒ぎも一興、待ってやるぐらいの慈悲はあるわ、貴族の地位にもいないただの冒険者一人、護衛もいない、残っている二人は邪魔しなければ生き残れるでしょうから、好きにすればいいわ。
目配せをすると、家の周りを囲んでいる男達がそろりと動き出す。ドアの前から家の中の様子を窺い、危険は無いと判断してドアを少し開ける。テーブルにうつ伏せになっている男が目に入る。ダイチだ。他に人は見当たらない、キッチンから物音が聞こえるのでそちらに居るのだろう。
騒ぎを大きくする必要は無い。この男を殺せばそれで終わりなんだから。一人がゆっくりとダイチに近づき首元にナイフを当てる、もう一人はドアの前で逃げ道を確保している。首元に当てたナイフを振り上げて力を込めて突き刺す。
ドサッ、という音がしてドアの前の男が倒れたその背中で姫子のしっぽがゆらゆらと揺れていた。姫子の得意技は気配察知と一撃必殺で今回は意識のみを刈り取ったのだ。ドアに隠れるように立っていた男の足元に忍び寄り気配を消したまま、背後から心臓に直接魔力を叩き込みその注ぎ込む魔力量によってダメージを調整しているのだ。
ナイフを振り上げていた男は、振りかぶったままブルブルと震え汗を滴らせていた、さっきまで気配もなかったのに突然足元の影からネコが飛び出してきて、吹き矢を男の眉間に吹き付けたのだ。指先一つ動かすことが出来ず、背後で男が倒れた音が聞こえ、家の外に居た男達二人もネコが一匹づつ咥えてズルズルと引きずって部屋に入ってくるところだった。
なんだ、これは?こんなネコがいるなんてきいてねえよ、使い魔として多少の魔力があるネコがいるのは聞いたことがあるが、このネコ達はなんなんだ、逃げることも出来ねーし、
「さすがだな、俺達要らないんじゃね?」
イルガーがキッチンからのんびりと姿を現した。
「私達はダイチを守ることが出来ても、それ以上はできないのにゃ、それが契約なのにゃ。」
「そうなのにゃ、ダイチやナナミを守るために相手を殺すことは出来ても、それだけなのにゃ。」
「だから、こいつらを雇った女には、手出しできないのにゃ。」
「ダイチの義母のフェルミーナが逃げたから捕まえてほしいのにゃ。」
「それを早く言え!!」
サイゾーくんと一緒に飛び出していくイルガー。
ナイフを振りかぶった男はまだブルブルと震えていた。オレ、いつまでこのまま?
お読みいただきありがとうございます。
よろしけば、ブクマ、感想、評価↓☆等をポチッとしていただけると、一番の励みになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1日1話、更新していく予定です。
土、日に2話更新してましたが、そろそろきついかも、です。ちょっと短くなりました。
1日1話、更新は続けます。




