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第26話 成長期

この一か月で、ダンジョンも拡張され魔物も順調に増えたようだ。

不安は尽きないが、やるしかない。


タイガーヴァイス、ドワーフの長老達と冒険者ギルドに向かった。

イリアンさんが、受付のお姉さんにギルドマスターとの面会を求め、10分程待たされてから2階の部屋に案内された。


広々とした部屋に応接セット、執務机に山盛りの書類。俺とイリアンさん、長老のみソファーに座らせてもらい、他はソファーの後ろに立っている。


「俺が、ここのギルマスをやってるアダム・カルステッドだ。面白そうなメンバーだな、イリアン。」

ニヤッと笑う40過ぎの頬に傷のあるガタイのいい、イケオジだ。赤みがかった髪が良く似合う。


「期待に応えられると思いますよ。」負けずに笑い返すイリアン。


「まずは、これを見て下さいよ。」

そう言って、ダンジョンカードを見せる。


「ん?  なんだ、これは、ダンジョンカード?  命の水ダンジョン、絆ダンジョン、・・・??俺は仕事柄、この国だけじゃなくこの大陸のダンジョンは知ってるつもりだったが、ダンジョンカードなんて聞いたこたあねえし、こんなダンジョンの名前なんか知らねーぞ。」


「それはな、この近くで俺達が見つけた新しいダンジョンなんだよ、今日はその情報を持ってきたんだぜ。せいぜい高く買ってくれよな、ギルマス。」


「そんで次から、俺達が来た時には、お茶ぐらい出してくれてもいいと思うぜ。」

ギルマスはカードと俺達の顔を何度も見返し、言葉が出てこないようで口がパクパクしている。それを余裕の表情で見ながら口の端でふっと笑うイリアンさん。この人たまにこういう芝居じみたとこあるんだよなぁ。似合ってるけどさ。


まだ指がプルプルしているが、なんとか言葉を繋ぐギルマス。

「あ、新しいダンジョンだとぉ、この近くって、まじか!!」


「まあまあ、落ち着いて下さいよ。」

「これが、落ち着いていられるかー!   どこだ、場所はどこだよ、おい。いや、いい、これから行くぞ。一時間後に出発だ。」

バタンと部屋を飛び出し、アリサ、アリサー、どこだ? すぐに来い。

・・・えー、もう、なんですか、と、廊下から声が聞こえてきた直後、

「なんですってー!」と部屋に飛び込んできた女の人、この人がアリサさんだね。


部屋に取り残されてた俺達は、アリサさんから質問責めにあった。



1階にいた、Cランクパーティ、”炎の盾”に緊急招集がかけられ、1時間も待たず興奮冷めやらぬギルマスに引きずられようにダンジョンまで戻った。タイガーヴァイスと炎の盾は、顔見知りだったようでお互いに魔物を狩りながら、順調に進み、ワイルド・ブルーボアを倒すと、下へ降りる階段が現れた。


「「階層が・・・増えてる。」」

その言葉にさっきまでのノリノリの雰囲気から一転、周囲に気を配り慎重に少しづつ進んで行く。

「前方に魔物の気配があるわ、その角の先ね、2~3匹まとめているみたい。」

アナさんが【探索サーチ】で感知したその先にロックバードが3匹。こちらにはまだ気が付いていないようだ。ロックバードの見た目は、一回り大きなダチョウのようだ。


「ロックバードか。気づかれると面倒くさいな、俺とイルガーで出よう、ニール、一匹任せた。」

「おう。」イルガーさんがイリアンさんと並び、走り出す。

「任せろ!」炎の盾のニールさんが続く。

三人が走り出すと、ロックバードも気付いたようで、こちらに向かって突進してきた。すれ違いざまロックバードの細い首が落ちる。  スゲー。


イリアンがドロップ品を拾いながら、俺に説明してくれた。ロックバードは、初撃を躱されるとスピードも力もあるから面倒になるが、走って近づくと向こうも走ってくるから、その時に首を落とすのが一番楽だと。ドロップ品は、肉と卵が一つづつだった。たまに羽もドロップされるらしいが、今回は無かった。


いいなあ、卵、欲しい。オムレツ、卵焼き、・・・パンケーキもありだな。くれないかな、卵・・・。


そんな俺の頭の中身など、知る由もないイリアンが話かけてきた。


「なあ、ダイチ、このダンジョンさ、最初より広くなってるよな? ここは2階層までだったし、1階と2階も広くなってるよな。」


「あ、ああ、 そうだな。」

ギクッ、その通りなんだが・・・なんて答えりゃいいんだ。俺が返事に困っていると、


「出来たばっかのダンジョンは、成長してるらしい。」

「そういえば、ワシも聞いたことがあるかもしれん。」

ギルマスとバルサさん、感謝です。 そう、そうなんです、成長してるんですよ、正に育ち盛り。でも、それ言っていいのか分かんなかったんで、助かりました。


命の水:3階層のフロアボスはCランク、ジャイアント・ロックバードだった。2,5m位のでっかいダチョウ。

でかいくせに、素早く動いて長い首で攻撃してくる。しかしさすがにどちらもCランクパーティだけある。脚を徹底して狙い、動きが鈍ったところを、イルガーさん・・・・ではなく、ドローウィッシュさんの背中をナナミが駆け上がり、首を絞めた。きれいな前三角締めが決まった。


手足で太い頸動脈を締め上げ、お胸で窒息させる。 絶妙なコンビネーション。逃げ場などなかった。



「「「・・・・・・・すげーな。」」」




お読みいただきありがとうございます。


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1日1話、更新していく予定です。

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