表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/79

第16話 実行

まずは、ダイチの案に基づき、話し合った結果、大まかな枠組みが決定した。


1階層       地上 ダンジョンとは公表しない  入場フリー

2~4階層     地下 食材            入場制限有

5~6階層     地下 お酒            入場フリー

7~9階層     地下 魔石、ポーション      入場フリー

10階層(最終階) 地下 ドワーフの住居       入場フリー


ざっとこんな感じだ。食材とお酒は居酒屋に欠かせないので、ワガママを許して欲しい。あとドワーフの住居を最終階に持ってきたのには、ちゃんと訳がある。隠し扉を作りそこを開ければエリア攻略とするのだ。ダンジョンには必ず守らなければならないルールが二つあり、


1、ダンジョン・マスターはダンジョンの外に出られない。本体は必ずダンジョンの中にあること。

2、最終階を攻略した者には、マスターへの道を繋げること。負けた場合は魔石を奪われ、隷属される。


この二つだけ守れば、あとは自由に出来るらしい。


さて、早速、新たなダンジョンを創ってもらおう。


「ミハル、頼むぞ、」

「うむ、まかせておくのじゃ、世の理を外し、我が理を現世に現せ、【迷宮創造(ラビリンス)】」


その言葉に続き、大地がゴゴゴゴゴゴっと揺れ始める。ミハルのバリアに包まれ空中に浮かびあがる。大地が鳴動し激しく揺れ、ゆがみ、その形を変えて行く。やがてゆっくりと揺れが収まり地面に足がついた。その存在が消えかけていたダンジョンが生まれ変わったのだ。


「とりあえず、ダイチが言うた通りの器を創ったが、これでどうするのじゃ。」


「こんな簡単に出来るんだ・・・。」


「簡単と言われると、ちと心外じゃがな、まあ、良いわ、細かい作業があれば言うてくれるが良い。」


「じゃあ、これでミハルも外に出られるの?」


「うむ、問題ない。」


言い終わると、ミハル達は外の荒野に立っていた。


「ここの広さは100m×100mくらいかのう、」


辺りを見渡し、魔力が届く範囲を確かめている。


「あれっ、そういえばミハル達はこんなに堂々と外に居て大丈夫なのか?」


「かまわんよ、我の姿を見てダンジョン・マスターなどと思うものはおらぬだろうし、姫子が気配察知で辺りを探ってくれておるしのう、」


真っ白いネコがしっぽをピンと立てて、誇らしげに答えた。

「主様、近くに人の気配はありませぬにゃ。ご安心くだしゃいませ。」


「姫子ちゃん、かしこーい、しゅごいんだね。」


と、すかさず、姫子を抱えてもふもふ。

久しぶりにダンジョンの外に出た猫又達は、嬉しそうに陽の光を浴びている。くつろぐ猫又達を思う存分もふるナナミ。しばらく放っておこう。


ミハルと一緒に1階層となった場所を確認する。ダンジョンへの入り口は全部で3つ。肝心なのが、ドワーフの住居への入り口。入って5メートル位の場所に隠し扉をつくってもらい、その前を大岩で塞ぎ、鍛冶神ヘファイストスのシンボルを刻んでもらい、その下にメッセージもつけてもらった。

 

【荒ぶる炎を制する御身に敬意を払う。隠されたるものは目に見えず、名もなく技術わざもなし。己と向き合い、浄化の炎にて己の道を示せ。】


隠されたるもの →隠し扉

浄化の炎にて己の道を示せ →強力な火魔法をぶつければ扉が出てくるよ


という具合に、まあ、拙いながら最下層の最終関門は謎解きにしてみた。ダンジョンの中にあれば、あっという間に突破されるのだろうが、ここは洞窟。あくまでもただの洞窟。


ドワーフは鍛冶神(ヘファイストス)酒神(クヴァシル)をとても大事にしている。鍛冶神(ヘファイストス)のシンボルが刻まれている岩に攻撃魔法など仕掛けない。絶対に。


ミハルと一緒に出来立てほやほやのダンジョンを見て回ることにする。まずは、魔石や、ポーションが取れるダンジョン、洞窟の入り口から入ると一本道で、しばらくすると入り口に戻された。きちんと階層を踏破してこないと、ダンジョンに入れない仕組みになっている。ミハルから仕組みは聞いていたが、念のために自分で確かめてみたかったんだ。


改めて、お酒の取れるダンジョンの入り口をくぐる、先程と同じような一本道の先が少し下り坂となっており、開けた場所に出た、スライムやゴブリンの姿が見えるが、ミハルと一緒なので襲われることもない。じっとしているだけの魔物なので、なんだか申し訳ない気持ちになるが、気にすることはない、明日になれば復活するからと言われて、短剣で刺すと、しばらくすると形が崩れ消えていった。7~8回繰り返すと、魔物が消えた後に瓶が落ちており、鑑定すると【エール水】となっていた。この世界で一般的に良く飲まれているもので、アルコール度数はかなり低い。ほとんど無いといっていい位だ。水代わり、いやお茶替わりという感じで日常の食事で良く飲まれている。これを蒸留したものが、【エール】となる。


この階層のフロアボス、ビッグスライムを倒すと【ビール】が出現する。俺的に何度もゴブリンと戦うのは臭い的にちょっと・・・。それにあんな臭いものを倒して口にするものを手に入れるのに抵抗があったので、ここは強く主張させてもらった。


次のフロアボス、ワイルド・ブルーボアを倒すと【ウイスキー】と、ダンジョンカードが出現した。そのカードには、こう書かれている。


《ファーストエリア、”命の泉”ダンジョンを踏破しました。セカンドエリア、”絆”ダンジョンに進むことが可能となりました。》


よしっ! 成功だ!  ミハルと一緒にサムズアップを決める。


そして、俺の手にはもう一枚のダンジョンカードがあった。そこに書かれていたのは、


隠しダンジョン”日本の食卓”に入場可能。と書かれている。


そう、食材が取れる場所を隠しダンジョン、ボーナスエリアにしてもらったのだ。

隠しダンジョンは、名前の通り通常の状態では隠されており、探索者達は気づかない限りスルーして進むことになる。気づいた者だけが食材おたからを手にすることが出来るのだ。素晴らしい!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ