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世界の終わりに銀の花束を  作者: 理科屋アミノ
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プロローグ

はじめまして。理科屋アミノと申します。小説を書くのは中学生以来なので至らない点があるかとは思いますが、優しめに見て下さい。

さて、今回の物語は元々ゲーム用に作ったプロットをノベライズしています。徐々に変わりゆく世界観が伝われば幸いです。また、ゲーム用プロットなのでハッピーエンド、バッドエンドを用意していたのですが、小説ではまだどちらにするか決めていません。感想などお待ちしておりますので、それを元に決めていけたらなと考えております。

今回はプロローグです。本編は次章よりスタートとなります。よろしくお願い致します。

初老の男性がこちらを見ている。

白髪混じりの毛髪にくたびれた白衣。

狂気の宿った瞳は笑みを湛えてこそいるが、口元は強く引き締まったままだった。

私は動かない。ガラス張りの内側で、手も目も髪も感情すらも時が止まった様に静止していた。私の身体に繋げられたコードが足元にまとわりついて少し不愉快だったが、窓の無い室内の暗黒が全てを虚無に変えていた。

息苦しい。

容器の内側だからだろうか。空気が私と混ざって濃くなっていくのを感じる。それともこの狭い室内に、多くの人間が様々な感情を込めたせいかもしれない。今やその人々は無言の人形のようになって足元に並べられているのだが。


どのくらい見つめられていただろうか。やがて男性は意を決したかのように何事か呟き、手元のスイッチを押した。カチリと乾いた音が響いた後、キィィンと機械独特の作動音が聞こえてきた。

とろり、と。

私の足元に容器の上から流れ落ちてきた薄緑色の液体が溜まり、円を描いていた。

ぬめりが足首を包み込む。

冷たい。

息苦しさが増した気がした。

呼吸が荒くなる。

腰が浸かる。

脚が動かない。

溶液に捕らえられているようだ、と思った。

不動だった心に、嫌悪と恐怖が這い上がる。水位はもう胸を越えようとしていた。

咄嗟に先程までこちらを凝視していた男性の方へ視線を向けた。

彼は視線に気付き顔を伏せる寸前、何か言ったらしかった。しかしその言葉はすでに溶液に浸かった私の耳には届かず、ただガラスの僅かな振動となっただけだった。


溶液に溶けゆく意識の中で思い返す。

最後の一瞬狂気を失った男性の言葉は。

私に向けた最後の言葉は。

ただ一言「すまない」とーーーー。

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