一学期
──なんで!?なんで総合1位がこの人なの!?
驚き叫ぶ1人の少女──紅兎 友海──。普段はたれ目のただ可愛らしさを感じさせる顔。その目はただただ驚きに見開いている。
どうやら、その少女は、高校1年の1学期中間テスト─つまり、初めてのテスト─の公開順位発表に理解が追いついていないようだ。
「おや、友海どうしましたか?」
1人の少年──古狸 由木から声がかかる。柔らかい雰囲気を持つ笑顔の少年だった。──その笑顔は、狸スマイルと呼ばれている。彼の笑顔に魅了された令嬢達は、ほとんどがおじ様好きになっている。魅了した令嬢達がおじ様好きその中でも彼の父のモテ期が再来したので納得いってないようだが。──
はっと、我に帰り少年に心の内を話す少女。
「どうしたもこうしたもないわ!私各教科主席は取れなくとも2、3位はとったわ!だけど、総合成績は9位!」
「まぁまぁ落ち着いて?」
「これじゃ、落ち着けないわ!……私より上が各教科の主席だけだったらまだいいわ。でも、総合1位は、各教科の3位になってすらない人じゃない!!」
「あぁ。それは仕方ないですよ。彼女─夜桜 響姫さんは、小等部から1位を取ってますしね。高校からの編入生のあなたが勝ててしまってはこちらの努力はなんだと言う話ですし。」
「え!?じゃ今回は調子が悪かったのかしら?でも、今回のテストの点数じゃ1回も負けてない人は沢山いるでしょ?」
「そういうことじゃないんですよ。正直得意な教科以外は本来80も取れればいいほうなんですよ。この学園のテストは。」
「そうなの?確かに難しいけれど、張り出されてる3位までが当たり前のように100点取れてるから90点とか普通なのかと思ってたわ。」
「結構難しいんですよ?」
「そうだったの。由木が100点とったせいでそこまでの苦労はわからないね。」
そのとき、ざわざわと人だかりが真っ二つにわれた。そこから現れたのは青みがかったつり目の少女と、赤みがかった瞳の少年だった。
順位を見るなり
「あら、また1位だわ。全くやる気があるのかしら。」
「お嬢に勝つのはちょっと厳しいんじゃないかな?」
「あら?随分と他人ごとですこと。」
「知ってます?お嬢。従者はテストがないんです。」
「まぁ?この私をなんて心得て?そのいいぐさなのかしら?従者様?」
───いつものやりとりである。
「、、、ねぇ由木。私は生まれもってのお金持ちじゃないからこう感じるのかもだけど、逆よね?」
「逆ですね。でもいつも通りです。なれてください。」
「なんか不正を疑ったけどどうでもよくなってきたわ。」
「そのことですが不正でも何でもないですよ。あれ。マナー・家柄・社交場の評価300プラスされた結果です。夜桜さんはそこで満点以外とらないお方ですから。」
にこりと笑った。
元が悪役令嬢かきたい!だったのでほぼ金持ち。
今回のメインっぽかった子だけです。
次からキャラ視点になります。