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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
プロ・オーヴァーランダー
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足りない武力

 僕のお家はEPで買うとして、ゴブリンの家は自力で作ってもらう事になる。

 基本的に、竹を使った家がゴブリンの家の主流だ。木材よりも加工しやすく、材料がすぐ近くにある。床を作るには不向きだけど、基本は枯れ草の上なゴブリンたちに指示して床を与えることはしていない。自分たちで家を良くしていく分には構わないんだけどね。


 ゴブリンの数が一気に増えたことで、家の数も4軒増やした。

 幹部ゴブリンの家と、刀(初期)の家と、捕虜ゴブリンの家が元からあった家。

 で、増やしたのが刀(後期)の家が2軒と、子供ゴブリンの家が2軒。


 子供ゴブリンの家には母親役のゴブリンを常に1匹配置しているけど、子供をひとまとめにすることで連帯感を持ってくれればいいなって考えている。

 実際はそこまで上手くいかないだろうけどねー。人間は3人いれば派閥を作るって言うし、ゴブリンも割と社会的な生き物だから同じことになるだろうさ。



 ゴブリンの家のうち、刀用の家の2軒は超適当だ。ぶっちゃけ、屋根しかない。

 さすがに初期の刀の家は壁を作ったけど、後発の刀たちの家はまだ東屋モドキだ。早急に壁作りをさせようと思う。


「という訳で、蔵人に周作と刀の7匹を付けるからさ。家の方をよろしく」


 綿花の方は栽培を始めたばかりで収穫はまだまだ先の話。ダンジョンにあるものを採取するしか入手手段が無いので、今のところは刀の1匹に任せておいても手が余るというのが現実だ。だから蔵人の手は空いている。家の仕事を任せても問題ない。

 家づくりに役立ちそうな資料なんかを読みたければ≪日本語≫スキル持ちの周作に頼ればいいよね。


 僕がそんな事を考えて指示を出すと、誾は僕に一つの提案をした。


「長様。刀も数が増えています。今の数になってからしばらく経ちますし、そろそろ資質を見極めて、班編成をしてはいかがでしょうか?」

「そっか。分業を考えられるレベルになってきたんだね」


 下僕ゴブリン・刀は今のところ17匹。

 最初は適性を見るためにも何でもやらせる方針で動いていたけど、どうやら研修期間は終了し、本採用に移ったみたいだ。


 僕は誾に視線を向けると、誾は「分かっています」とばかりに刀のスキル一覧を書いた資料を僕に手渡す。

 それを見て僕は一言。


「ものの見事に生産系に偏ったね」

「実戦経験が浅いので、それもしょうがないかと」

「集落の襲撃はやらせているんだけどねー」

「保護者有りと無しでは()の入り方が違うのかもしれません」

「そっかー。パワレベ扱いでマイナス補正が入っちゃったか。でも巡回とかもさせているんだけどねー」


 刀のスキルは、そのほとんどが生産系だった。≪採取≫や≪建築≫といったものばかりだ。

 で、≪悪路走破≫≪パルクール≫≪スコップ術≫などと言った先頭に役立ちそうなスキルを持った者は少ない。片手の指で数え終わる。


 現状でスキルに合わせた配属をすれば、外に出るメンバーがほとんどいなくなる。さすがにそれは拙いよね。

 つまり、だ。


「班分けよりも必要なのはブートキャンプかな。刀の戦闘訓練を推し進めようか」

「武闘大会でも開きますか?」

「いやいやいやいや。さすがにそれは無いよ」


 刀に必要なのは、物理戦闘能力だ。

 できれば魔法戦闘能力も欲しいところだけど、時間をそこそこ使っているのに魔法使いは増えないんだよね。残念。


 物理戦闘能力を鍛えようと思うと、やっぱり実戦が一番って言う結果になるのは僕らの経験則だ。

 訓練でスコップを振り回していても強くなれないのは自分たちで証明されている。

 でも、だからと言って武闘大会なんて開かないよ? 少年漫画じゃないんだからさ、そんなシリーズ打ち切りものな展開はノーサンキュー。不通に殺し合いに連れて行くって。



 僕はそんな事を考えつつ、次回の遠征に刀を連れて行くことを計画するのだった。

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