原始人な僕ら
今、ホームの部屋割りはこうなっている。
・ ホーム小屋:僕
・ 幹部ゴブリン用の竹の家:信綱・蔵人・誾・卜伝・義輝・義姫
・ 下僕ゴブリン用の竹の家:刀3匹・捕虜6匹
ホーム小屋は幹部ゴブリンの竹の家の半分の広さ。
下僕ゴブリン用の竹の家は幹部用と同じ広さだけど、作りが雑で床板が無い。
寝具の方も、僕のベッドは枯草の上に布を被せ、さらにその上で寝袋を使っている。
幹部6匹は枯草の上に布を敷いて、布団代わりのタオルケットだ。
下僕と捕虜は、枯草だけ。床に直じゃないだけだね。
ご飯は、僕と幹部6匹は日本からの持ち込み品がメイン。猪肉も食べるけど、主食は持ち込み。
下僕たちは猪肉がメインで、タケノコやドングリ粉のパンモドキを食べている。猪肉食べ放題だから、お腹いっぱいにはなると思うよ。それに塩は好きに使わせているから、そこまで酷くはない、と思いたいね。
主従や階級による格差社会だけど、僕は、僕らはこれが限界だと考えている。
少なくとも、みんな平等だなんて大嘘は口が裂けても言う気は無い。
何と言っても、サーヴァント限定の蘇生手段っていう鬼札を持っている僕は絶対に生き残るべきだからね。
僕さえ生きていれば立て直しがきくと、そういう事だから。
皆を死なせたくないなら、皆を傷付けてもいいから、僕は泥をすすっても生き残る覚悟を持たなきゃダメだと思う。
本当に泥をすする気なんて全く無いんだけどね?
階級社会を作るときに気を付けるべきは、武力の存在だと思う。
軍隊とかを編成して指揮官に収まり、武力をベースに秩序を作り、大衆を導くのが指導者の役割だ。異論は認めるよ。
まぁ、武力をベースとは言っても、食料供給も含めて武力の力だと思うけど。狩猟民族的な意味で。
現在の僕らは、生活環境を整えていく段階だと思う。
食料供給はね、猪肉があるから飢える事はまず無い。塩も日本で安くまとめて買えばいいだけだし。
砂糖とか滅多に使わないから、そっちは全然要らなかったりするのはご愛嬌。日本物資チートでは砂糖が売り物として登場することが多いけど、僕らのホームは出来たばかりの、限界集落よりひどい過疎地域だからね。そんな高級品よりも必要なものが多いんだよ。
で、必要な物の第一弾は布だと思っている。
だから紡錘を作り出したんだけど、これよりもさらに次の段階に進む必要がある。
ぶっちゃけ、紡錘なんて古代レベルの代物だからね。中世ヨーロッパぐらいの技術力が必要な糸車の開発がしたいんだよ。
ただ、金属が使えなくて頓挫しているっていうのが現状なんだけどさ。
「蔵人、調子はどう?」
「ギ!」
僕は紡錘で糸を紡いでいる蔵人たちに声をかける。
蔵人が糸を作り、卜伝と義姫は編み棒を動かし布を作っている。
蔵人や僕が作る糸は毛糸みたいな太さなので、ある意味ちょうどいい。マフラーを作る要領で2匹は布を作っていく。
出来の悪さはご愛嬌。だんだんと荒かった編み目が細かくきれいになっていく様は2匹の成長が目に見えるって事でなかなか見ごたえがある。
そのうち手袋なんかにも挑戦させてみたいけど、さすがにそれは後回し。
手袋はまとめ買いの軍手を使った方が早いからね。
僕たちのチームは、手詰まりだと思う。
何らかのブレイクスルーが必要だ。
それは技術的な物か、それとも人数的な物か。そもそも物資が足りていないのが問題かな?
いずれにせよ、原始人レベルの僕らは何をするにしても歯がゆい歩みしかできないでいた。




