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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
若鳥オーヴァーランダー
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決意表明

 収入が増えたけど、やりたい事と使わなきゃいけない事が多いので、まだまだ足りないなーって気分だよ

 でも、まじめなお話、こうやって何かが足りないなって思っているときが一番楽しいんだよね。もしも欲しい物ややる事が無くなったら、それはそれで面白くないと思う気がする。


 終わってしまえば物悲しい。

 祭りってやつは、準備期間が一番楽しいってやつだね。





 3日目。


 集落への襲撃が終われば、次は野営の訓練だ。

 僕らは食料などの準備を終えると、いつもの拠点に向かう。新しくサーヴァントにしたゴブたちはお留守番だけどね。


 捕虜ゴブリンには出かける前にたっぷりご飯を与えておいた清水は飲めるようにしておいたので多分大丈夫。

 刀シリーズの下士官ゴブが成長したら世話を任せられるし、今回は適当な扱いでもいいよね?


 気になるのは集落のゴブリンを全滅させていないことで、もしかしたら拠点に住み着いた奴がいるかもしれないって事だ。

 逃げた先に拠点があるわけじゃないけど、もしもそっちに住み着かれていたら厄介だ。面倒な事になりませんようにと神様にお願いする。


 こんな時だけ頼ってごめんねと、神様には謝っておこう。神様なんて信じてないけど。





 拠点の近くに来たけど、道中にゴブリンの死体がいくつかあっただけで、拠点までたどり着いたゴブリンはいなかった。

 僕が罠を仕掛けていたとかそういうことではなくて、同士討ちなんだと思う。逃げている最中に責任の押し付け合いをしたとか、食料の奪い合いをしたとか。理由は分からないけどね。

 こんな時は「悲しいけど、これ、戦争なのよね」と言っておけばいいよね。


 生き残りがどうなったかは気になるけど、今の時点で僕に害がなければそれでいいや。



 拠点に着いてからの仕事は、実はあんまりない。

 周辺の警戒と昼飯・夕飯・翌日の朝ごはんの準備ぐらいしかしない。

 寝床の準備は固定化してあるから問題ないし、そんなに手間もかからない。何度もやってきたから周りの地図もほぼ完ぺきだし、キャンプをしに来たようなものだ。


 だから僕はみんなに新しい課題を出す。


「次に来た時には、さらに先を目指すよ。

 だからどこに行くか、行った後にどうするかをちゃんと考えておくこと。3泊4日の移動になるから、何も考えていないときついよ」

「長様。それは、次の『ふろあ』を目指すという事でしょうか?」

「うん。いつまでも同じフロアにとどまる理由もないからね」

「先を目指す必要はあるのでしょうか? このままこの森で戦い続けるという選択肢もあると思うのですが」


 僕は次のフロアを目指すと宣言したけど、誾はそんな僕に反対意見を出した。

 これは誾が本気で僕に反対する気でいるわけではなく、僕に覚悟を決めさせるための儀礼的な行為なんだ。あえて反対意見を出すことで僕の行動理由をみんなに明確に示し、全員で僕の目的に沿った動きをするための下地を作るための演技なんだよ。

 自分の中だけで目的を決めただけだと簡単に翻しちゃうこともあるからね。周囲に示すことで退けなくなるって事もあるから。

 口にするだけでも、覚悟を決めるきっかけになるんだよ。


「増収、増益が狙いっていうのもあるけどね。

 いつまでも同じフロアにいると、ここのゴブリンの進化が僕らの手に負えなくなるかもしれない。リスクの低下には先に進むっていう選択肢を今のうちに増やすことも大切なんだよ。

 何と言っても、この森だけでは得られる資源が少なすぎる。せめて塩の入手ルートの確保と、家畜になる動物を探したいんだよ」


 今は僕が持ってくるものに頼っているから生活が成り立つけど、この先もそれでは制限が大きすぎるからね。

 どうにかする手段をEPに求めるとひどい事になるし、現実的じゃないっていうのもある。

 先に進まないと、結局は手詰まりになるんだよね。


 わりと、選択肢が少ないんだよ。僕らは。

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