戦闘が終わり
催涙弾の効果範囲は、結構狭い。
半径5mあるか無いかって所じゃないかな。もちろん風で広がった分も含めてだ。
でも、ゴブリンが密集していたこともあって2発の催涙弾は10以上のゴブリンを行動不能にした。
被害を受けたゴブリンは目を押さえるんだけど、鼻水を垂れ流し涙を零しながらのたうち回る。
そんなふうに何匹ものゴブリンが一度に行動不能になれば、残ったゴブリンも怯むというものだ。それは臆病だからではなく、未知の物を警戒するだけの知性がある証拠だ。
僕はだめ押しとばかりにさらに10mほど距離を詰めて3発目の催涙弾を投げる。
今度の催涙弾はさらに奥に届いたので、新たな被害者を量産する。
相手が怯んで壁を作っていた分、被害は今までの2発以上に猛威を振るった。20匹近いゴブリンが行動不能になる。しかもその中にはホブゴブリンの姿もあった。
たった3発の手製催涙弾だったけど、幸運に恵まれたおかげで30と数匹、つまり3分の1から半数近いゴブリンが戦える状況じゃなくなった。無事だったゴブリンは強敵ゴブリンも雑魚ゴブリンも算を乱して逃走する。
戦争では対象が死んだり兵士の2割が死ねば全滅だっていうぐらいだから、これは僕らの大勝利といっても差し支えない。
生き残りが結構いるのは確かなんだけど、ここで倒れている連中を殺しておけば戦力その他が半減するわけで、何をするにも都合がよくなる。
特にEPがいつものように増えることは間違いなく、催涙弾の効果の高さを考えれば今後の戦いをうまく進める手助けになりそうなのが良いね。
催涙弾をテストしたのは今回限りの手段が欲しかったわけじゃなくて、今後も使えそうな手段が欲しかったからなんだ。
これだけの戦果を挙げてくれたのなら、敵の数がかなり多い戦闘の時に頼りにしても良さそうだよね。
もちろんこれだけに頼るわけじゃないから、使いやすい保険ができたって感じだけどね。
僕は催涙弾の効果にホクホクしながら、倒れているゴブリンやホブゴブリンの息の根をみんなで止めて回った。
その後にやるのは、やっぱり追撃になる。
集落のゴブリンは今回の件でみんな出てきたようだけど、そのみんなって、大人ゴブリンに限るんだよね。さすがに小さな子供までは連れてきていない。
それにいつものユニークモンスター撃破&サーヴァント追加のアナウンスが無いんだよね。これを聞かなかったって事は、まだ集落にゴブリンが残っているって事だと思う。
だから僕らはゴブリンの集落を強襲することにした。
でも、その前にお昼ご飯をしっかり食べておこうと思う。
血の臭いのする場所が嫌ってこともあるけど、そもそも食料は集落近くの拠点に隠してある。
だから僕らは強襲前の腹ごしらえに、拠点まで足を運んだ。
がっつり食べると食休みが必要になるので本来なら軽く済ませるべきなんだろうけど、僕らは割とヘトヘトで、ちゃんとした休憩が必要だと思っている。
だからしっかり食べてしっかり休んで、強襲はそれからでいいと割り切った。
もしかしたら逃げられるかもしれないけど、それはもうそれと諦めたほうが良い。下手に疲れたまま強襲して手痛い反撃を食らったら馬鹿らしいからね。
臆病な考えかもしれないけど、休むべき時を見誤るのは良くないんだ。
そんな理由でみんなでカレーを食べて、1時間の食休みを挟み、それから集落を襲った。
匂いとかは気にしなかった。隠れてこそこそっていうやり方でもないし。
そこで僕は無事にサーヴァントを追加し、ついでに多くの物資を回収してホームに戻るのだった。




