表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーヴァーランダー  作者: 猫の人
ひよっこオーヴァーランダー
64/290

各個撃破のために

 10匹のゴブリン相手におびえていた僕だけど、それが絶望的な数字なのは一人で戦った時の話なんだよね。

 信綱は1対1なら近接戦闘のみでも難なく勝てる実力があったし、蔵人たちは遠距離攻撃で普通に2匹ぐらい倒せる実力があった。


 敵ゴブの防具の成長は、今のところ大したことは無い。

 毛皮を纏ってはいるものの、鎧という概念はいまだになく、頭部に石が当たればそのまま一発でお亡くなりになるような状態だ。

 盾の類も装備していないので、まだしばらくは投石無双をできそうだ。



 でも、簡単に勝ってしまうと催涙弾の出番がない。

 頑張った皆にしてみれば、普通に戦って勝てる規模なら普通に戦ったっていいじゃないって事なんだろうけどね、元の目的は催涙弾だからね?

 実戦で使用実績を積まないと、いざって時に使えないなんて事になりかねないんだから。


 まずは、安全が確保されている間に使ってみる。

 まずはそこからなんだよ。





 僕が覚えている限り、今までのゴブリンの集落なら戦闘要員は40匹ぐらいだった。

 今の集落は規模が増しているので、もう2割、計算しやすい50匹と考えておけばいいと思う。


 そうなると集落には残り40匹がいるわけだけど、敵ボスであるホブゴブリンの数が増えているかもしれないし、質が上がっている可能性も考慮すると、敵の集落はまだまだ健在なんだろうなぁと思う。



 ここで、敵の行動を予測してみよう。


 まず、仮に出た一団が全滅したわけだけど、これはまだバレていないというか、相手には知る手段がない話だ。

 でも、仲間がなかなか戻ってこないなら、別の集団を狩りに生かせるぐらいはすると思う。もしくは、何が起こったかを調べるために偵察兵を派遣するとか。


 何をするにしても、情報を得るために少数を派遣すると思うのだ。



 だから僕は信綱を連れ、また集落の偵察をすることにした。

 さっきのように少数が派遣されたのであればこれを撃破し、敵戦力を削るのが大事だと思うのだ。


 なお、残ったメンバーで死体の片づけをしてもらうことにした。





 各個撃破、ゲリラ戦は少数で戦う者の基本戦術だ。

 僕らは敵ゴブの集落を観察できるポイントに移動し、双眼鏡で様子をうかがう。


 信綱と交替で、さっき敵が出てきたところと同じ場所を監視している。

 居なくなった仲間を探すのであれば同じ場所から出てくるだろうという判断だ。


 はっきり言ってかなり暇なんだけど、それを我慢しないと勝てる戦も勝てなくなる。

 どれだけ暇でもできることは無い。会話は言語の壁が分厚いから無理だし、ゲームなんかをするわけにもいかない。

 確かに主任務は集落の監視だけど、残るもう一人は周辺警戒をしなくてはいけないからだ。少なくとも、僕の考えに「集落の監視をしていたら猪に殺されました」なんて間抜けだけは無い。ワンダリングモンスターの様な別の何かが来る可能性も無いわけではないし、警戒は必須なんだ。



 周辺警戒とかって、何かに意識を集中させてもいけないんだよね。

 例えば蝶々が飛んでいたとして、そちらに意識を割くとそのほかの認識に割くリソースが減り、奇襲を許すことになりかねない。

 視界は漠然と、聴覚や嗅覚にも意識を割き、広く浅くで変化点を探すお仕事が、僕の考える周辺警戒だ。


 そうやって警戒を続けていると、なんとなくだけど周囲から得られる情報が増えた気がした。

 多分スキルだろう。スキルを得たことで一気に警戒の精度が跳ね上がったみたいだ。



 そのことに内心で喜んでいると、信綱が立ち上がり、僕の方に双眼鏡を手渡した。

 そして集落を見るようにと促す。


 交替の時間がまだ先だったのに信綱がこういう行動に出たということは、敵が動いたんだろう。

 僕は双眼鏡で敵の姿を確認すると、仲間たちとの合流を急いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ