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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
新人オーヴァーランダー
44/290

ゴブリンの集落をホームに作った

 アタック27回目。


 24回目から26回目の稼ぎで、『回復薬』の持ち帰りを選んだ。

 現在はオークションに出品中で、アタック終了後に結果が分かるはず。


 大体20日に一回ぐらいのペースで回復薬を売りに出すつもりだね。

 月収で見たら150万円ぐらいになるけど、向こうでの食費を含む経費で80万円ぐらい使っているから、命がけのお仕事としては安い収入かもしれないね。

 まぁ、経費には初期投資費用っていうのも含まれるから、来月以降の経費は60万円ぐらいに収まるけど。



 ホームの家は、かなり変化しつつある。

 外壁に泥を塗って土壁っぽくしたし、机とかの家具も木を切り倒して順調に増やしている。

 こちらで石器の道具類も作り始めたし、草を編んで縄なんかも作り出している。もちろん草鞋も作ったよ。


 明かりが窓からの光だけっていうのが気になるけど、電灯を作るなんてできないから、そこはロウソクとかの灯りだけで誤魔化すしかないよね。

 道具類も石器ばかりに頼らないようにしたいけど、金属関連はまだ手が出せない。一応、炭焼き釜を作り始めてはいるけど、完成はいつぐらいになるだろう?


 ホームにはまだ足りないものは多いけど、それを言いだしたらきりがない。

 できる事を少しずつ増やすしかないんだ。





 それよりも大きな変化は、ゴブリン達の成長だ。


 信綱を始め、他4匹も身長150㎝(・・・・)まで成長したんだ。

 普通のゴブリンはこれよりも頭一つは言い過ぎだけど、10㎝は背が低い。うちの子たちはかなり体格がいい部類に入るみたいだ。


 たぶんだけど、これは食が影響していると思う。

 日本人も昔は小柄だったけど、現代では西洋人ほどではないけど大柄になりつつある。これも食の環境が大きく変わった事が理由に挙げられている。人間だけじゃなく、ゴブリンもきっとそこは同じなんだ。


 成長した信綱たちは、それぞれ違った分野のスキルを覚えていった。


 信綱は戦闘系がメインで、≪バール術≫に加えて≪スコップ術≫も覚えたし、≪投擲≫≪パルクール≫なんてスキルまで生やしている。ゴブリン戦にも連れて行ったけど、1対1なら強敵ゴブリンとでも戦える強さを見せている。わりとギリギリだけどね。

 蔵人は生産系で、≪伐採≫≪木工≫≪家具作成≫≪建築≫と、戦闘系スキルを一切習得せずにホーム周辺がメインの職場になっている。ゴブリン戦はやらせてみたけど、全然だめだね。普通のゴブリンでトントン、強敵ゴブリンとは危なくて戦わせられないと思った。

 卜伝は信綱と同じく戦闘系。ただし遠距離メインで、≪投擲≫≪印字≫スキルが生えるなどと、謎の成長を遂げた。最初は≪印字≫の意味が分からずネットで調べる羽目になったけど、どうやら石投げ関連のスキルだったみたいだ。

 義輝は戦闘系と言うより狩人かな。≪スコップ術≫≪解体≫≪罠設置≫≪穴掘り≫≪追跡≫と、狩りに便利なスキルを揃えている。独りで兎や猪を狩れるところまで成長している。逆にゴブリン戦はあまり好きではないのか、どうにも消極的なのでそっち担当からは外して考えている。


 一番の変化は誾で、誾は≪ダンス≫や≪歌唱≫スキルを覚えていったから芸能系かなと思っていたけど、なんと≪日本語≫スキルを覚えていった。

 そのおかげで誾だけは僕と普通に喋れるようになっている。覚えた初日はカタコトだったけど、翌日には流暢に喋り出していた。スキルって凄い理不尽だよね。



 なお、誾の体は女らしく成長しており、胸は大きく腰のあたりにくびれがある。

 そのうち信綱と子作りを始めるかもね。


 僕?

 僕はさすがに人外萌えじゃないからね。ゴブリンとする(・・)なんて考えていないよ。

 世の中は広いからやっちゃったチャレンジャーもいるだろうけど、僕はその勇者と肩を並べる気は無い。これは“今のところ”なんて曖昧なものではなく、“絶対に”と言いきれる程度にしっかりした感覚だ。

 異種姦は、僕にはハードルが高すぎるんだよ。





 信綱と卜伝っていう戦闘担当が育ったことで、僕は一つの決断をした。


 ダンジョンの、更に先に行こうと思う。


 これまでのダンジョン探索は、日帰りできる距離に拘っていた。

 僕はダンジョン内、命の危険がある場所で寝るのが怖かったんだ。だからこれまでは日帰りでいける場所だけで動いていた。


 だけど寝ずの番を出来る仲間がいるなら、もう少し行動範囲を広げて、日帰り以上の、泊りがけの攻略をしてもいいってわけなんだね。

 今度から、近い場所で練習をしようと思う。



 そんな風にホームで今後の活動計画を立てていると、僕の頭に聞きなれたアナウンスが入ってきた。


『ユニークモンスターを殺害しました。サーヴァント化します』


 ユニークモンスターを殺した?

 みんなホームにいるのに?

 え?


 周囲を見れば、両手にネギを持って『千本○』を踊るゴブリン達。5匹全員揃っている。

 誰かが外で偶然殺したとか、そんな展開は無い。

 なのになんでこのタイミング?


 そう思っていると、ホームの小屋の中、何も置いていない場所に魔法陣が現れる。そしてその上に小さなゴブリンの子供が現れた。


 初めて見るサーヴァント登場よりも、なんでサーヴァントが増えたのか理解できない僕は首を傾げるしかない。

 逆に信綱たちは何も気にせず、新人相手に序列について言い聞かせだしていた。大人5匹に囲まれ、時々僕の方を見ながら頭を押さえつけられている新ゴブ。ゴブリン界は序列に厳しい。


 とにかく、理由は不明だけど6匹目のゴブリンが増えてしまった。

 1匹ならまだ食料の問題は起きないと思うけど。理由が分からないと勝手にゴブリンが増殖して困るよね。早いところ、原因究明をしないといけない。





 足場を固め、新しい事に挑もうってタイミングで起きたハプニング。

 僕の前途はまだまだ問題がいっぱいだ。

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