ゴブリンの集落をホームに作ろう③
思わぬハイペースで竹藪ができたことに、僕は感謝する。
感謝の気持ちを込めて、ゴブリンを虐殺する。
僕は、ユニークなゴブリンを探して、タケノコを消費するゴブリンを求めているんだ。
信綱にタケノコの、特に小さなものを渡すと、信綱はむさぼるようにそれを食べ、嬉しそうにしていた。
つまり、タケノコはゴブリンの主食となりうる。
少なくとも、ゴブリンは誰も食べられない、という事はない。
なら、あとは消費者を増やすだけなんだ。
食料と水の二つさえ満たしておけば、ゴブリンは離反しない。
サーヴァントの面倒な仕様だけど、サーヴァントはご飯をちゃんと食べさせ、まともな扱いをしないと、いつの間にか逃げ出すことがあるんだ。
サーヴァントはあくまでも従者であって、奴隷じゃないってことだね。
主には従者を食べさせる義務があるんだ。
タケノコの生産量は結構多い。
10m四方の土地であっても、信綱が食べきれない量が採取できる。
それに加え、1回のアタックにつき1頭の猪を狩れば肉類も十分手に入る。
問題は穀物類だけど、今のところ、これは諦めるしかないかな。
信綱にはタケノコを食べ終わったらホームの近くでドングリ拾いをするように言いつけたけど、どれくらい集まるだろう?
最初のゴブリン殲滅は作業に近い。
二回目ってこともあるけど、僕が手馴れてきたというより、敵の行動ルーチンが劣化した気がする。
もしかすると、集落一つを完全に根絶やしにしたことで貯まっていた経験知的な何かが喪失したのかもしれない。
これまでは集落に手を出していなかったけど、そこにいた子供が、毎回ダンジョンの仕様によって急成長していたとか。その子供は親の経験を受け継いでいたとか。そんな可能性があったのかもしれない。
今回は最初からやり直す、ではないにしても、ダンジョンがセーブしたところから再開したんじゃないかな?
まぁ、これも「かもしれない」って話だし。
そこまで深く考える必要はないよね。
今回も火責めで大きく数を削ってからの、罠地獄で戦闘ゴブリンを殲滅して、集落で残る非戦闘員ゴブリンを皆殺しにした。
もう一つ見つけた集落では、まず最初は同じ手順で戦闘ゴブリンを外に釣って、戦闘ゴブリンやホブゴブリンがいなくなった後に、集落に残っていた非戦闘員ゴブリンだけを殺す作戦に出てみた。
これが思いのほか上手くいって、非戦闘員ゴブリンばかりを30匹も殺すことができた。
そして、2匹のユニークゴブリンを殺していたみたいで、ホームに戻った僕は、信綱に頭を下げるミニゴブリン2匹を迎え入れることになった。
新しいゴブリンの名前は、それぞれ「丸目蔵人」「立花誾千代」とした。呼び名は「蔵人」「誾」。
片方は雌だったんだよね。付いていない、って意味だけど。
今回は前回のように準備を何もしていないってことも無かったから、子供用のシャツや下着、ズボンを買っておいた。
僕がいなくなると強制的に脱衣することになるけど、そこはもう諦めてる。何ともならないし、こっちで作るって言っても、何から始めればいいかわからないし。
3匹とも、ご飯を食べれば食べかすをポロポロ零して汚すし、シモの管理が全然できていない。
その辺を教えるのもこれからの課題だね。最終的にはこの子らが下の子の面倒を見てくれるといいんだけど。
信綱の子分になった新しい2匹を見て、僕はそんなことを考えていた。




