ゴブリンの集落をホームに作ろう①
僕はビジネス書を読みながら、今後の方針を考える。
ダンジョンアタックにビジネス書の考え方を持ち込むのは不思議な話に見えるかもしれないけど、企業経営もアタックの方針決定も似たようなものなんだよ。
目標を定め、課題を検討し、実行に移す。
出た結果を検討し、反省をして次に活かす。
当たり前だけど、いのち大事に、で。
自分に何が必要なのかわからなくなった時の参考に、こういった本の考え方は参考になるんだよ。
何より、税別100円で大量に売っているからね。失敗しても気にならないんだ。
ビジネス書を読みいろいろと考えた結果、僕自身の強化はまだしないことにした。これは戦闘能力強化よりも生活基盤を整える方が重要だと考えたためだ。
せっかくユニークモンスターがいる場所を見つけたんだ。一人でなんでも出来ると考えるのは甘いと思いなおし、ゴブリンを増やす方に意識を向けていこうと思う。
その為にも、土地を購入してあるものを育てよう。
僕が育てたいもの。それは竹だ。
竹を育てて、食材と燃料、建材の確保をしようと思う。
竹は生物兵器とまで言われるほど、生命力が強い。
下手にどこかに勝手に植えれば爆発的に繁殖して、バイオハザードになりかねない。
僕の持っている山にも竹が生えているけど、広がらないように土の中まで壁を作ってあるんだよね。もしも外まで広がってしまえば罰金をとられちゃうから念入りに管理している。
でも、ホームの土地は何をしても自由だ。
竹の管理に失敗したところで特に問題はない。
それよりも竹藪があることのメリットの方が大きいと思う。
食料としてはタケノコが手に入る。ゴブリンの食費を考えると、無いよりはあったほうが良いのは確かだ。
竹は育つのが早いから、火を焚くのにも使える。
ちょっと加工すれば水筒になるからゴブリンが自分の飲み水を持ち運ぶのに、器になる。竹かごを編むこともできる。
竹束は盾にも使えるって言うし、戦闘補助にもなる。
簡単に育つのに、いろんな方面に利用できるのが竹なんだ。
そんなわけで、畑ではなく、ただの土地を3つ購入してみた。
竹がすぐに育つといっても、ほんの数日で育つわけじゃないし。今のうちに土地を用意して、次回に竹を持ち込んで固定して、すぐに育て始めるのが良いだろう。
EPの現金化は、今回のような収入が続かなくても慌てる必要はない。その前の収入通りに戻ったところでも問題は無いんだ。
現状のままでどれぐらいの収入が予想されるかを考え、どの程度の支出が行われるかを考え、その収支のバランスから自分に投資できる金額を考える。
余裕のうちの半分は自分に投資したほうが良い。
そして、どうやって自分を強化するのか、その明確なビジョンがあったほうが良い。
僕の強化方法、一番大事なのはゴブリンの数を増やすことだ。
多くのゴブリンを取り巻きに使い、僕は直接戦闘をしないことで自身のリスクを下げる方法が、一番現実的で効率のいい強化方法だと結論付けた。
もし何かあった時、僕一人ではリカバリーできない事態が想定される。人間を味方にできない僕は、ゴブリンでもいいから仲間を増やし、そういったリスクに備えるべきだ。
信綱っていう試金石をどこまで磨ききれるかが今後の勝負の分かれ目になる。
一人で出来る事なんてたかが知れていると、僕は思い知らなくてはいけないんだ。
だから今後はその為に必要な物を揃えていくことになる。
僕は方針をしっかりと決めると、信綱の相手をしつつ猪を狩り、他のゴブリンの集落を探し当て、20回目のアタックを終えた。




