ステージ3 ボス戦
「前世? 覚えてないの!」
アタック137回目。
キズナに前世の記憶があるか無いか確認してみたけど、やっぱり無かったようだ。
これはわりとどうでもいい事なので、深くは確認しなかった。
ただし。
「この写真の人間と付き合ってみたいと思う?」
「思わないの!」
「ゴブリンと比べると、どっちがマシ?」
「どっちもやー!」
本当に記憶が無いのか。
前世の影響があるのか。
全く判別がつかないのは問題だったと思う。
あと、言動が幼いから、子供だったのかな、前世は。そう考えると不憫だねぇ。思い出さないほうが良いのかも。
ボスのいる所には蜂の巣がある。ボスが蜂かどうかは分からないが、蜂がいるのは間違いない。
周囲を蜂が飛んでいれば集中力が乱されるし、刺されれば、下手をすれば死ぬ。
つまり、蜂対策が必須だ。
しかし、今回はその対策が難しいと思う。
写真を見せてもらったが、蜂の巣は地面の下ではなく屋外にある。木の横にくっつく形で鎮座しており、馬鹿みたいな大きさの蜂がまわりを飛んでいた。
推定40㎝級の蜂。
日本にいる蜂とは全然違うけど、漫画に出てくる人間大の蜂ではないから、まだ日本の常識が通じると思うけど。
問題は、環境かな?
蜂退治と言えば、煙で燻すのが有名だろう。蜂が苦手とする木を燃やし、その煙で退治する奴だ。
この巣を煙で燻してもきっと効果は薄い。屋外にあるため煙の密度が濃くなることは無く、下手をすれば簡単に風で吹き飛ばされそうだからだ。
もしも煙作戦をするなら、十分な量の木々を燃やす必要がある。それはあまり現実的ではないのだ。
あとは、蜂用の殺虫剤を使ってみるか。
普段から肌の露出を押さえているし、顔の周りを覆う奴さえ追加すれば何とかなる。
……いや、普通に≪火魔法≫でよかったかも?
無駄に考え過ぎた。
うん、蜂は普通に焼き払おう。
で、ボスで気になる事。
ボス戦が蜂だけっていうのは、ほぼ確実に無い。
他にも何かいると思うんだけど、信綱たちの観察していた1時間では出てこなかった。
バッテリー使ってなくても消耗するからなぁ。初回は特に、ドローンを使わずに調べさせるのはやらせたくなかったのでしょうがない。
念のため、周囲に何かいないかなって探し回ったらしいんだけどなぁ。見つからないみたい。
狼、鷹、蛇、熊、虎、蜂。
今回尾は種類が豊富だけど、次は何が出る事やら。
まぁ、行って確かめるしかないよね。
「それは我々が確認してからお願いします。
長様は――お留守番です。お土産の蜂の巣、ハチミツは無理でも鉢蝋ぐらいは入手して見せましょう。
ですから、大人しく待っていてください」
「そんな!?」
そうそう。
なんか、誾の過保護が増したと思う。
最近、こんなのばっかりだ。




