表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーヴァーランダー  作者: 猫の人
クリエイション
258/290

洞窟の先

 火熊は洞窟が好きなのか、ホームに設置した山に穴を掘り、そこで寝ている。

 だけど、動き回るのが好きなので昼間は外にいるんだけどね、ホームは狭いのでわざわざダンジョン『ゴブリンの森』まで遊びに行きたがる。


 ……一回連れて行ったら大興奮ではしゃいでいたんだよね。

 「また連れて行って」と目で訴えてくる。


 敵がゴブリン相手、1人だけなら問題ないんだけどね。

 2人3人と数が増えれば不覚をとるし、森の敵ゴブリンって集団行動が基本になっているし。不安が残るんだ。

 誰かと一緒に連れて行ってもすぐに走り出して単独行動をするし。まだ早いんだよ、連れて行くの。

 もうちょっと、落ち着くことを覚えなさい。



 今回の探索では霧狼を手に入れられず、火熊の相手をしながら現実逃避。

 パワーだけなら僕以上。相手をするのは大変だけど、それでもいい気晴らしになる。


 僕らと違い、信綱らは新しい成果があった。

 今度は無傷ではないけど火熊を倒し子熊をさらに1頭追加。

 さらに洞窟の奥へと歩を進め、宝箱を見付けている。そこで出てきたのはよく分からないこぶし大の赤い岩だけど、きっと良い物なのだろう。EPに換金すると100Pと出ていたし。

 換金アイテムかもしれないけどね、しばらくは置いておくよ。

 信綱たちはまだ時間に余裕があったけど、そこで洞窟探検を切り上げて帰ってきた。



 ただね、この洞窟探検、そこで切り上げたのには訳がある。宝箱の中身を安全に運ぶためじゃないんだ。


 誾が、その先に進みたくないと言い出した。


 もともと、僕が洞窟探索に同行していないのは誾が「洞窟に嫌な感じがする」と言い出したのがきっかけだ。

 その誾が進みたくないと言い出した以上、何かあると考えるのが自然だ。入ろうとした僕を止めるほどの嫌な予感は、今回の探索で確定した形になる。



「それで。どうする、長様?」

「そこから先に進むのはやめておこうか。宝箱が回収できるところまで進めるならプラス収支って事で、先は諦めよう。

 もし、外から次に進め無さそうなら、その時は探索するけど。

 今すぐにはその危険に足を踏み入れる必要は無いし、もうちょっと外で強くなってからでもいいよね。

 誾はどう思う?」


 嫌な予感がするのなら、あえて危険に足を踏み入れる必要はないと僕は判断した。

 これまで「次のステージへの魔法陣」はそんな嫌な感じがしなかったというのを考えても、もしかしたら全く関係ない凶悪モンスターがいるだけって可能性があるんだ。

 候補としては頭の片隅に置いておくけど、優先順位は下げてしまおう。


 ただ、念のため誾に確認は取っておく。

 本当に先に進まなくてもいいのかと。

 誾の予感を受け入れて先に進まないわけだけど、その誾が「先に進むべき」という気持ちを抱いていた場合、様子見とかもした方が良さそう、なのかな。


 最悪は静御前の≪神託≫で答えを聞くけどさ。


「はい。あの洞窟はこれ以上進むべきではありません。

 進む必要は、無いと思います」


 こわばった顔で答える誾は、嘘をついているとかではなく、単純に恐怖からそう言っているように思う。

 んー。恐怖で判断が鈍っている気もするけど、まぁ、いいか。



 僕らはこうして洞窟に見切りをつけ、「次」を探すことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ