霧狼狙い
アタック128回目。
小熊さんの食欲、半端ない。
ゴブリンよりもちっちゃな体のときですら、ゴブリンの3倍食べていたんですけど。
新しく仲間になった火熊の子熊は、食欲旺盛で、とても元気だ。
ご飯を食べた分だけ動くという感じで、ゴブリンたちを相手に格闘訓練をしていたりする。
そして食べた分だけ大きくなる。
身長はそろそろゴブリンを超えるかもしれない。
体重の方は3倍以上はある。体の厚みが全然違う。かなりごついよ。
体が大きくなったこともあり、身体能力ではオーク並みのポテンシャルを持っている。足の速さでは今の時点でサーヴァント最速だ。
このぶんなら、もう2~3回後には外に連れ出せそうだね。
名前?
まだ付けないよ。ペット枠だからと付けても良かったんだけど、外に出すようになってからでいいやって思っている。
信綱や誾たちは、またボロボロになった装備が更新されたので、3回目の洞窟探検に向かった。いや、4回目かな。小熊を連れてきた時が3回目で。
僕らの方は変わらず拠点経由の遠征をしている。
第二拠点の製作に入ろうかなと思う訳だけど、前回と前々回は次のゴブリンを連れて行くEPを貯めたかったから、まだ手つかずなんだよね。
もっとも、作る場所の選定ぐらいはやったけど。
そして今回も拠点は作らない。
火熊の数が増える事も考え、ホームの土地をもっと広げたいからね。
基本的に、このステージの主力は霧狼だ。
灰鷹と木蛇はオマケと言うか隙間埋め要員と言うか。あまり出番が無いんだよね。
そうなると、火熊に続いて霧狼も欲しくなる。手に入りそうだという意味で。
スケルトンとかは欲しくなかったので頑張らなかったけど、霧狼はいい戦力になると思う。牧畜でも牧羊犬のような役割を出来るだろうし、それぐらいは頑張ってもいいはずだ。
なので、霧狼がいそうなところを念入りに潰すように僕らは動く。
「んじゃ、全方位警戒」
「「了解!!」」
霧狼がいるところは霧の濃い所だけど、それを地上から探すのは骨が折れる。
なので、ドローンを使って上空から探そうと思う。
ここに来た初日、空に飛ばしたドローンは灰鷹の餌食となった。
それ以来、ドローンは使わずにステージ1専用と割り切ってきた。
しかしだ。
こちらの戦力も充実しているし、魔法による迎撃ができれば、ドローンを使えるかもしれないと僕は考えた。
6人パーティの時は無理だろうけど、今の12人体制なら全方位を警戒できるし、迎撃戦力もあると自負している。
なにより、灰鷹とはドローンに関係なく何度も戦っているので、戦い慣れたというのが大きい。
不意打ちさえ許さなければ、ドローンを守り切ることも可能のはずだ。
「6時方向! 灰鷹、3!」
「迎撃用意!」
「迎撃用意!」
「敵、射程に入ります!」
「撃て!!」
山頂で、僕らを基準に高さ100mまでドローンを飛ばす。これが今の僕らが迎撃態勢をとれる最大高度だ。
すると、それを見付けた灰鷹がドローンの方に飛んできた。すぐに半数が迎撃態勢をとる。残りのメンバーは他の方角の監視のままだ。
互いに声を掛け合い、魔法による一斉射撃が行われた。
空を飛ぶ敵と言うのは、偏差攻撃の照準合わせがわりと分かりやすい。急旋回とかできないわけじゃないけど、それでも地上の敵よりは動きが画一的になる。
某マク〇スのヴァルキリーみたいに変形でもしない限りは動きが制限されるのだ。
灰鷹は案の定、密度の濃い魔法を躱し切る事が出来ず、翼をへし折られて地上に落ちた。落ちた衝撃で死んだね、あれは。
キジも鳴かずば、と言ったところかな。灰鷹はドローンを狙わねば、だけど。
100mから撮影した航空写真は300mの時と比べて鮮明な分だけ撮影範囲が狭い。
だけど、山の頂から撮ったこともあり、そこそこ以上の周辺情報が分かった。
拠点から行けそうな範囲は大体フォローできたので、今回からしばらくは霧狼の大狩猟祭だね。
食費は嵩むだろうけど、動物型サーヴァント、もっと欲しいよね。




