パーティ分割
僕を抜きにしたパーティを作るとして。僕は戦力分配で頭を悩ませている。
今まで僕がいたパーティは、信綱、誾、義輝、卜伝、氷刃の5人だ。
蔵人は生産にまわり、鞍馬はオーク仲間を率いて迷宮攻略パーティの主力を担っている。義姫は誾がいない間、女性ゴブリンのまとめ役をやっているので、冒険に出る事は難しい。
サブメンバー候補としては出雲所属の闘刃と雷刃、魔法担当の藤孝の合計3人が候補に挙がる。
6人を1パーティと考えると、あと3人欲しい。
いや、ステージ2と違い6人縛りはないのだから、もっといてもいいのかな。
少し考え、橋の工事をやっていたゴブリン達に声をかけ、彼らを僕のパーティメンバーに組み込む事にした。メンバーは僕を入れて11人もの大パーティになる。
サブメンバーは全員、信綱達に合流だ。きっと危険なのだから8人で探索してもらおう。
逆に僕の方は山肌の方を普通に歩き回るだけなのだから、ステージ3に慣れたメンバーであれば問題ないはず。
人数も多いから、油断さえしなければ大丈夫だろう。
アタック121回目。
洞窟探索メンバーの、靴の準備が整うまでの間はそれぞれのパーティで連携訓練だ。
人の入れ替えをしたばかりだと、どうしても動きにぎこちなさが出る。これは熟練者であっても避けられない事なので、ちゃんと確認しないとあとが怖い。
訓練とは言っているけど、やる事はそれぞれのパーティで山歩きをするだけなんだよね。
誾などは僕と離れて行動する事に難色を示していたけど、別れる理由が理由なので諦めて欲しい。
だって、あの洞窟がどんなふうに危険なのかは分かっていなくても、危険だと考えているのは誾だけなんだから、彼女が危険信号を出してくれないと退くタイミングが分からない。
僕は死ぬまで戦えとかそういう事を言いたいわけではないので、死なないように用心する為、誾にはアラームの役をして欲しいんだ。
そんなわけであんまり絡みのないゴブリン10人と一緒に山の探索を行う。
「長様、キノコっす。オーク連中の好きなやつなので、採取していってもいいですか?」
「うん。それならいったん移動は休止して、他にもないか、キノコを探そうか。
地図の方にはキノコの採取ポイントを記録しておいてね」
「了解です」
「ではこれから周辺の探索を行う。2人1組となり採取可能な物を探してくるように。なお、僕の護衛として1組は残すよ。
探索時間は1時間を目安に、この場所まで戻ってくるように。1時間半までは待つけど、もどってこなければおいていく。もし僕らがいなかった場合は何かあったとして、各自の判断で村まで戻るように」
「「はい!」」
「「グギャッ!」」
ゴブリン達は、僕を相手に緊張した様子などない。
これまで橋を作る為に、一緒に仕事をしていたんだから、慣れているのだ。無駄に緊張などせず移動をしている。
そんなときに食用キノコを見つけたので、僕らは周辺探索を行うと決めた。
僕は拠点というか、戻ってくる時の目印としてその場に残り、護衛2名を残して8人のゴブリンが探索へと散っていく。
そうして休憩しつつ待つ事20分。
探索に出ていたメンバーのうち1組が戻ってきた。
「長様。霧の濃い場所があるようです。
霧狼の奴らがいると思われますが、どうしますか?」
「せっかくの訓練なんだから、もちろん戦うよ」
「うぃっす!」
どうやら近くにモンスターがいるようだ。
このメンバーとは木蛇以外と戦った事はなかった気がするけど、みんなここのモンスターとは一通り戦っているって言うし。
お手並み拝見、まずはみんなだけにやってもらった方が良いって言う事で、事前の取り決め通り、頑張ってもらおうか。




