橋④
アタック115回目。
みんなの体調もそろそろ回復してきたという事で、本格的に橋の建築を行う事にした。
ちょっと考えれば思い付きそうな話だったんだけど、EPで固定化した銛とロープ、毎回回収していたけど、もう一回固定化をする事が出来ないからとお蔵入りしていたものが結構あったんだけどね。それを使って向こう岸にいく為の『縄の道』を作る事になった。
確かに固定化は出来ないけど、一回限りの使用は出来るわけで。それなら向こう岸でロープを固定する人員を送り込むのに使えばいいと、みんなを看病する間に思い至ったんだよ。
もちろん、固定化してある、できるものと混ざらないように目印をつけて使うよ。
「これで、30! 加重テスト!」
「テストクリア!」
「許容値、150%クリア! いつでも行けます!」
≪投擲≫スキルの補正をフルに使い、30本のロープがこちらとあちらの岸を繋いだ。
こっちは木に括り付け、あちらは銛が地面に突き刺さっているだけの状態。はっきり言って、リスクが読み切れない状態である。
だから、その上にゴブリン2人に乗ってもらい、向こう岸の銛が抜け落ち無い事を確認してみた。
これで向こうの銛に何か異変でもあれば強行せず取りやめるつもりでいたけど、テストが上手くいったので足の速い、小柄なゴブリンがハンマーを抱えロープの上を走って行った。もちろん、命綱は付けてある。
そのゴブリンは見事向こう岸までたどり着き、僕らに向けて手を振って見せると、こっち岸にいる仲間達から歓声が上がった。
「よし、固定化用の銛を固定してくれ!」
まず最初に、安定したロープを最低4本は用意したい。
そういう訳で、向こう岸に投げていた銛のうち、固定か可能なものを4本、地面に深く打ち付けさせた。このレベルで補強されたロープは銛で軽く地面に刺さっただけのロープよりも加重に強い。簡単には抜けないだろう。
僕はすかさず『固定化』を行い、これから作る橋の基礎になるロープを何度でもリセットする絶対的なものに作り替えた。
「では、工事を開始するぞ!」
「「はい!」」
「「グギャッ!」」
固定化したロープの上に足場となる木の板を置きながら、10人のゴブリンを向こう岸に送り込む。もちろん木の板は固定していく。
そしてロープの近くに新しく柱を立て、片方の岸の柱の上の方からもう片方の岸の柱までロープを通す。
あとは柱のロープと足場のロープを等間隔で結びつけ、加重の分散を促し支えとする。
見よう見まねだけど、僕の調べた吊り橋の構造は、これでいいはずだ。
最後に、銛と柱の全てを抜けたり倒れないように≪土魔法≫でガチガチに固め、完成。
せっかく魔法があるんだから、これぐらいはしないと駄目だよね。
途中途中で固定化しながらの作業だったが、ここ3回分で稼いだEPでなんとか足りた。
またもスッカラカンになってしまったが、これで向こう岸の探索が出来るとあれば、安い買い物だろう。
こうして僕らは新たな土地へ次の一歩を踏み出すのだった。




