人員カツカツの運営体制
ゴブリンたちの、夏バテによる大量ノックダウンにより、色々なところで問題が発生した。
食糧まわりがその最たるもので、生産効率の悪化というか、狩りや採取の人員不足で通常の2割近い食糧不足になったわけだ。
それ以外の人員不足は、特にノルマがあるわけでもないからスルーするけどね。
前に、料理へ悪戯をした悪ガキへの制裁と食育などのために、村の食糧は割とカツカツになるように調整していた。
それが2割減ともなれば、飢え死にこそしないけど相当厳しい状態に追い込まれるのが目に見えている。
そこも含めて食育、食の大切さを実感させる環境であると嘯いてもいいのだけれど、さすがにね、これはやり過ぎかなって思うわけだ。
飽食にするのは完全にアウトだけど、援助が必要と思う次第である。
「まぁ、古い飢餓への対応みたいに、泥粥や木の根を食わせるっていう選択肢もあるわけだけど」
「長様、さすがにそれは……」
「やらないから安心していいよ」
正直、青々とした森と山っていうステージを抱えているのだから、食糧不足とか言ったところで、本当に食べるものがない人たちからしてみれば甘えているって言われてもしょうがないんだけどね。
でもね、村のゴブリンたちは僕の食生活には及ばなくとも、わりと良い食事で舌が肥えているという状態なんだよね。
さすがにガチな飢餓対策をするのもどうかと思う。
本来であれば、ちゃんとした為政者であれば食糧の備蓄を開放して対応するんだろうけど。
「なーんにも無いんだよなぁ」
「腐らせてしまいますからね……」
悲しい事に、備蓄と言えそうな物は、EPで買って育てた迷宮ジャガイモぐらいである。
ただ、それもまだ収穫したのが1回なので、その量はお察しというところ。ぶっちゃけてしまえば、2日あれば空になる程度でしかない。
野菜の類などは日干しにするというほどの量が無いため、収穫したら即使い切るようにしていた。
つまり、僕らはその日ぐらしをしていたわけだ。
言い訳をしていいなら、僕みたいな素人が村を作って1年か2年でそこまでできる訳がない、と言いたいけどね。
そんな訳だから、山を作り避難所を作った後は、ご飯の確保だ。
EPはカツカツなので、普通に海で投網漁をする事にした。
「そーれ!」
「みんな、曳くぞーー!」
やっぱり、投網漁は凶悪だと思う。
一網打尽の言葉通り、釣りとは比べ物にならない量の魚が手に入る。
最近は吊り橋用にロープを作っていたけど、『固定化』後は回収してストックしていた。
橋には使えないそのロープで作っていた投網は、海から豊富な資源を根こそぎ奪う。どうせ補充されるんだからと、小さい魚もリリースしない。
ついでに貝なども回収。こっちは小さいものは回収しない。労力に見合わないし。
これだけで1日分の食糧が賄える。
そしてさっさとクエストを終わらせ、いつものように6日も滞在せず3日で撤収。
そうすれば海産物はまた補充されるからね。
森に固定化してある猪とかも。
しばらくはこれで時間稼ぎかな。
僕の持ち込みで賄えればいいんだけど、そんなのは1日分ですら難しいし。もっと畑とか増やさないと駄目っぽい?
今後は米とか小麦とか、栽培を始めた方が良さそうだ。
やる事、多いよなぁ。




