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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
デストラクション
233/290

橋②

 橋の建築に当たって、僕は僕で現実にあるものを利用するように、ネットで吊り橋の画像や図面を調べている。

 が、残念だけど、あんまり役に立てられないなあと言うのが結論だった。


 悲しい事に、リアルの吊り橋はちゃんとした、張力検査などで耐久性を調べられた、「規格化された部品」で橋を作っているからだ。

 発生する応力などの分散とか言われても、どの程度の強度で耐えられるからこれを使うとか、どのぐらいの負荷がかかるからこれぐらいの素材を使うとか、かなり数字に細かいんだ。

 もし真似したとしても、そういった土台が無い僕らではものが簡単に壊れてお終い、となりかねない。


 まぁ、結局は基本的な形状とかだけだけど、参考にはするんだけどね。

 数字の方が全く役に立たないって話。





 僕が考えるロープというと、最初はこちらでは草の蔦を編んで作るものだった。

 それが草を腐らせ繊維質だけで編むようになったのが2段階目。麻の縄とか、そっち系ね。

 第三段階、今作っているものは、それに樹液をしみこませた、もうちょっと頑丈なやつ。地球ではこういうのをなんて言うのかは知らないけど、普通のロープと比べて曲げにくくなる反面、頑丈さがかなり増したものになっている。

 剛性と柔軟性の麺から言えば、それが正解かは分からないんだけどね。


 更に段階を踏めば金属製のロープになるんだけど、さすがにそこまでは難しいので手が出ない。ワイヤーとか、ちょっと憧れるんだけどな。


 ……その前に高炉とか、そっち系の金属精製施設が先?

 僕らはどこぞの無人島開発番組じゃないんだけどなぁ。人数と魔法の分だけまだマシ?



 そんなわけで、ロープの方はひとまずこれで目処が付いたというか、これを使ってから後で考えればいいって話なんだけど。

 次の問題は、お邪魔虫。

 正しくは、虫では無く蛇だけど。

 木蛇、鬱陶しいです。





 僕らの作業現場は川沿いなんだけど、そこは木蛇のテリトリーだ。

 けっこうな確率で木蛇が襲ってくるような、群生地帯であった。

 木蛇が川の近くに多く生息しているっていうのはその生態観察から分かっていたけど、ここは、僕らが橋を作ろうとしている場所は特にその数が多い。

 魔法抜きでは戦いたくないほど木蛇は強いので、かなり困った事になる。


「氷刃ー、大丈夫?」

「ギュ、ギュゥ~~」

「あー。やっぱり、こう寒いと、休憩も何も、無いよなぁ。悪いねぇ」


 そんなわけで、橋の建設現場は先に藤孝が地面を凍らせて、木蛇が寄りつかなくなるようにしている。

 こうしておくと、変温動物の木蛇がよってこなくなるのだ。

 本当は嫌う臭いなどで対応できれば平和なんだけど、それが出来ないから寒さを我慢しながら仕事をする事になる。

 7月の、夏の真っ盛りに。



「これ、絶対に、健康に悪いよね」


 ホーム、村の方はかなり暑くなってきた。

 ここ、ステージ3は涼しく、建設現場はむしろ寒い。

 その間を毎日行き来していれば、かなりの確率で体調を崩しそうである。


 とはいえ、今のところは≪氷魔法≫に頼る以外の選択肢も無く。

 橋を作る作業はみんなの我慢で出来ていた。

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