戦闘環境(灰鷹)
霧狼と比べ、鳥の方、こちらは見たまんま『灰鷹』と呼んでいる。
パソコン上で漢字変換すれば普通に一括変換できるので、地球上に同じ名前の鷹が居るんだろうけど、僕としては呼びやすい名前なのでそのまま押し通す事にした。
だって、どうせ地球の灰鷹と出くわす事も無いし、それを話題にする相手も居ないからね。
見た目は禿鷹なみに大きな鷹なんだけど、腹の側が曇天の空に溶け込む灰色の羽毛に覆われている。
背の方は普通の鷹と同じ。焦げ茶色をベースに使った、羽の先が黒っぽいやつだ。
大きさから考えると航空力学的に飛べないと思うんだけど、多分魔法を使っていると思うんだよね。よくある≪風魔法≫の飛翔補助とかさ。
ま、ただの予測なんだけどね。
で、この灰鷹だけど。こいつ、探索中に出くわす分には非常に厄介だ。
基本的に木々の下を通る僕らは頭上への注意が散漫というか、疎かになっている。視界が通らないので、これはどうしようも無い事だ。
しかし灰鷹の方は地上の僕らを見つけるのが難しくないのか、よく不意打ちをされるのだ。最初の一発は必ず相手に持って行かれる。
元々僕らは遠距離攻撃による先制、そのまま制圧という攻撃特化の防御無視を基本戦術としている。
よって火力は大きいけど防御面はそれなり程度にすぎず、先制されるとかなり痛い思いをする事になる。
幸い灰鷹は単独行動ばかりなので、集団に襲われる事は無い。
だけど、それでも出くわす度に誰かが怪我をするというのは面白くない。
今のところは木で作ったヘルメットで対応しているけど、どうにか先制攻撃を防げるようになりたいものだね。
具体的には、こいつらの1羽かそこらを対空迎撃要員としてスカウトしたいよ。
ただね。
こいつら、鳥なんだよ。
なのでネタで用意したアイテムが意外と使えたりする。
「ピィィーーッ!!」
「ギュッ!」
それの名は、かすみ網。
日本を始め多くの国で禁止されている、鳥獣捕獲用のアイテムである。
かすみ網は木と木の間に張る網の事だ。
鳥が飛び立つ為には脚で地面を蹴らないと行けないんだけど、網に捕まった鳥はそれができないので逃げられなくなるのだ。
無差別に鳥を捕まえてしまうので、かすみ網は使っちゃいけない事になっているわけだ。
落とし穴なんかと同じだね。
で、灰鷹も例外じゃなかったりする訳なのだよ。
久しぶりにダンジョンの固定化をしたけど、こっちの素材で作ったかすみ網は灰鷹を捕らえる事に成功している。
近くに居たキラキラ光るものを貼り付けたゴブリンを囮と気が付けず、網に突っ込んで絡まる。
大事なのは強度で、灰鷹が突っ込んできた勢いを殺しきる堅さと弾力があれば、それでいい。
それが難しいんだけどね? でも、意外となんとかなるんだよ。そこいらに生えていた蔦とか使って作った網でも二重三重に編み込めば一回ぐらいは使える。
その一回でも十分なんだよ。楽に、確実に勝てる手段が一つでもあれば、いずれ支払ったEPをペイできるんだから。
まぁ、ここまでは常識の範囲、なんだよねー。




