ステージ2 攻略戦 終
髑髏の魔術師はもういない。
それを確認した僕らは、骨兵士を無視してボス部屋を駆ける。
最初は防衛陣地の上、高さ1.5mの安全地帯を。次に安全地帯とボス部屋を隔てる高さ2mの壁をジャンプして乗り越え。着地は≪風魔法≫で衝撃を緩和し、そのまま残り40m先を目指して走り出す。
入り口付近に集められた骨兵士では駆けだした僕らに追いつくことができず、無意味に追いかける事しかできない。
少なくとも、僕が魔法陣にたどり着くまでの数秒後までに追いつくことはあり得なかった。
しかしだ。
この程度の、妨害にもなっていない妨害ではクリアまでの道筋が平坦すぎる。
やり方に一回で気が付いてしまえば、むしろこのクリア方法はご褒美のようなものだ。楽すぎる。
そうやって警戒していれば案の定、髑髏の魔術師が黄泉返る。
うん。分かっていたよ。
骨兵士を全滅させなくても復活するとかさ、お約束じゃないか。
「鞍馬!」
「ブヒィ!!」
まだ魔力に余裕のあった鞍馬が、水晶の杖を魔術師に向けて魔法を使う。
魔術師の方も魔法を使おうとしていたが、復活するというプロセスを経ている分だけ動きが遅く、鞍馬の魔法が先に発動した。
魔術師が何をしようとしていたかは分からない。
ただ、鞍馬が立ち止まり連続して魔法を撃ち込むと、何もできず、そのまま倒されていった。
立ち止まった鞍馬に骨兵士が殺到するけど、それは同じく足を止めた卜伝がどうにかしている。
最後の最後、騎士っぽいのが出てきたけどこれはスルー。無視できそうだったので、戦おうともせず脇を通り抜けてやる。
そうして最後の妨害もクリアし。
僕は今度こそ誰も犠牲にせず、ステージをクリアした。
ステージクリアをしたので、僕らは全員ホームに戻された。
最後の数秒で怪我をした奴はおらず、無傷の完全勝利だ。
前回の様に、誾を喪い嘆くこともしないで済んだ。
復活するとか関係なく、仲間に死なれるのは嫌な気分になるからね。全員が五体満足で生きて帰れて、ほっとしている。
反省点など、全く無し。
強いて言うなら、他のメンバーと入れ替えを行っても似たような事が出来るようになりたいという、その程度の話。
白ゴブ姫と鞍馬の交替要員がいないのが問題かな。藤孝であれば、交替させてもギリギリ何とかなりそうな気がする。たぶんだけど。
そんな事を考えながら、自動帰還までのロスタイムにみんなの顔を見回す。
すると、一人だけ見ない顔があり、いるはずだった白ゴブ姫の姿が無い事に気が付く。
そう、一人、と呼ぶのにふさわしい、人間っぽいモンスターがホームにいる。それも白ゴブ姫が消えて、だ。
いない顔を思い出せばなんとなく状況がつかめるわけだけど、冷静な部分がツッコミを入れる。
なんで白ゴブ姫なんだ、とか。
なんで人化したのか、とか。
目の前にいる女性は、白ゴブ姫で間違いないんだろうけど。
僕は混乱した頭でまともな判断を下せず、ステータスを確認する前に日本に戻された。




