ステージ2 攻略戦④
髑髏の魔術師がいなくなったから杖を維持する必要がなくなったので、白ゴブ姫は魔法を解除していた。
そうなると杖を攻撃していた骨兵士はやる事が無いので壁の方に寄ってくることになり、あとは壁を壊そうとするだけの無害な存在になり果てた。
よって、骨兵士の殲滅は簡単だった。
頭の悪いモンスターなら、何らかの与えられた命令に従うだけの相手であれば、野生の動物や森のモンスターよりも与し易い。
やる事はただの単純作業でしかない。
骨兵士の殲滅は数が多かったことに加え、うまく骨を砕けない事も多くあったので、20分ほど時間がかかった。
そして、それは骨兵士の殲滅と同時に現れた。
「まさかの復活系。道理で楽なはずだよ……」
髑髏の魔術師、完全復活。
装備品のローブや杖まで体の一部だというのか。スケルトンな姿でもない。
反則だ、そう言いたいけど、言ったところで意味はない。現実は変わらない。また出てきた以上、倒すしかない。
ちょっとだけ、泣きたくなった。
幸いな事に、骨兵士の追加は無かった。どうやら材料が足りないらしい。
そして髑髏の魔術師は、初期配置から動かない。持ち場で迎撃するタイプのモンスターなのだろうか?
「敵は動かないみたいだから、ちょっと休憩がてら作戦を決めようか」
この状況、実は予想外ではない。
ボスの強さ、状況の難易度がステージ1よりも低かったので、まだ何かあると思っていたのだ。
もしくは、ボスである髑髏の魔術師がシャレにならないほど強いか、という考えもあったけど。
ちなみに。
予測できたもう一つの理由は、父さんが集めていたTCG、その中にあったモンスターも復活能力持ちだったからである。
アンデッド系だし、自動蘇生はよくある話とも言う。
予測した状況の中でも、今の状況は比較的マシな部類だ。
これより悪い状況とは、倒した回数に応じてどんどんパワーアップするとか、取り巻きが無限に補充されるとか。
部屋から出てきて追いかけまわされることも視野に入れてきた。それを言いだすなら部屋の中でも動かないというのは、相当いい状況と言う事もできるかな。
「じゃあ、多数決をとろうか」
僕は考えてきた作戦の中から、3つの選択肢を候補に挙げる。
撤退する、強行突破する、|復活しなくなるまで倒す《持久戦》。この3つだ。
撤退を提案する理由は、上手くやれるかもしれないから。髑髏の魔術師が復活したタイミングは骨兵士を殲滅し終えた後だった。骨兵士が残っていれば復活しないかもしれないので、安全策ならこれが一番。欠点は時間をかけてしまう事。
強行突破は、髑髏の魔術師を倒さなくとも、ステージ1同様に魔法陣、次のステージに行ければいいだけなので、無理に倒そうとはしないやり方。確実性は、意外と高め? いや、髑髏の魔術師の攻撃手段が分からない以上、不確定要素が大きいか。考え方がシンプルではあるけどね。
復活しなくなるまで、というのも、一応は理由がある。動かない相手だし遠距離から安全に倒せるので、復活回数が尽きるまで休憩しつつ殺し続けようという作戦。上手くいけば、髑髏の魔術師の撃破報酬が大量に手に入るかもしれない。ロマンがある。
どの作戦も利点と欠点があるので、どれを選んでも大きく問題は無いだろう。たぶん。
僕はみんなの顔を見回し、意見を聞く。
「じゃあ。撤退したい人」
全員が手を挙げた。




