ステージ2 攻略戦①
店員さんの名前は『小阪 祐子』という。
いきなり名前呼びはハードルが高いので、名字で呼ばせてもらう事にした。
彼女、小阪さんには僕の事情を話すと共に、相手の事を知る為、名前や電話番号など個人情報をいくつか教えてもらった。
付き合うかもしれないのだから、さすがに僕の事情を話すだけでは駄目だからね。
お互いの自己紹介は当たり前、会える時間の確認や連絡方法などを簡単に打ち合わせしないとすれ違うし。
店員と客という関係から踏み出そうというのだから、話さなきゃ分からない事だらけなんだよね。
あ、そうだ。一個だけ気になった事があった。
小阪さん、なんで僕と付き合いたいなんて思ったのかな。
目の前で刺されたのをきっかけに意識したとか言っていたけど、そういう事もあるのかなぁ?
何か変な気がするよ。
……付き合ってから考えればいいか。
小阪さんとはデートと言うか、話をする時間確保の為に一緒にご飯を食べに行く約束をして、この場は別れた。
小阪さん、まだ仕事中だからね。いつまでも休憩していられないし、あとの話は彼女の仕事が終わってからだ。
ここで仕事をさぼるような女性であれば、即お断りだよ。
恋愛は、仕事に優先しないのだ。
予想だにしなかった展開の為に予定が狂ったけど、何はなくともアタック97回目。100回目まであと少しだ。
今回は、フロア4の攻略を前提に行動する気でいる。
そのため、選抜されたメンバーはいつもとかなり違う。
普段のメンバーは、僕、信綱、誾、蔵人、卜伝、義輝、鞍馬となっている。
今回のメンバーは、僕、誾、卜伝、鞍馬、藤孝、白ゴブ姫、出雲の≪氷魔法≫使いとなっている。
信綱、蔵人と義輝を外し、藤孝と白ゴブ姫、出雲の参戦となったのだ。
作戦を色々と考えたのだけど、このメンバーがベストだった。
細かい事を言えば信綱は残留でも良かったんだけど、本人がゴブリン責任者としてできるだけ村に残る事を考えているらしいから、こんな組み合わせになった。
このメンバーに決まってからもフロア4で何度か戦ってみたし、ゾンビを使っての練習では作戦が上手くいく事は確認済み。
後は本番を残すだけとなっている。
作戦が上手くいっても、ボスの耐久力などが僕らの想定を上回れば相当危険な展開になる。
いざとなれば逃げる事も考慮しつつ、僕らは迷宮に向かった。




