ボス見学
ゾンビ対策は万全でも、それ以外の敵が混じると、バールのようなものに活躍の場はない。
そこは通常通り、スコップによる面攻撃などが有効だとなる。
また、通常のスケルトンがいる場合は一度相手に近づきすぐに後退、ゾンビとスケルトンの移動速度の差を使って相手を分断し、各個撃破する戦術を使っているので、前線メンバーは状況によりスイッチするようにしている。
武器の持ち替えが面倒というのもあるけど、戦闘時の負担を分散するという狙いもある。
さすがに、連戦はきついんだよ。
そうやって4~5戦すると、ステージのボス部屋にたどり着く。
今回は様子見という事で手出しをする気は無い。ただ、戦術を考えるためにいろいろと確認はするんだけどね。
こういう時、攻撃を仕掛けるか部屋に入らないとボス戦が始まらないっていう縛りは便利だよね。
「藤孝、鞍馬。できそう?」
「グギャッ!!」
「ブヒッ!」
ボス部屋はそこそこ広い体育館のような広さで、天井も高い。
バスケのコート換算で4面分、高さは5~6mぐらい? もっと狭ければ部屋に蓋をして火攻めをするんだけどね。これだけ広いと火葬しようとしても効果は薄いかな。
で、僕が藤孝に確認してもらったのは、部屋の外からボスを狙えるかどうか。
遠距離攻撃で一気に倒せるならその方が良いからね。
「できる。問題ないそうですよ」
僕の質問に対する藤孝の答えは肯定。自信に満ちた藤孝の表情を見る限り、問題なさそう。鞍馬も親指を立て、大丈夫だと言っている。
つまりだ。安全圏からの先制攻撃はできると。戦術に組み込んで良さそうだ。
骨巨人の時はもうちょっと距離があったし、部屋に入って相手が近づくのを利用する必要があったからね。
今度の敵に、それはちょっと危険なんだよ。
最後の敵は、明らかに魔法使いタイプ。
ローブを着て、杖を持った、黒いオーラを纏う骸骨。差し詰め『髑髏の魔術師』と言ったところか。
ついでに護衛のスケルトンになりそうな骨が部屋のあちこちにあるし、正直、部屋の中に入って戦うのは馬鹿らしいんだよね。
部屋の外から攻撃、あとは釣ってどうにかするのが一番だと思う。
相手の得意な戦場で戦わない。
強敵相手の基本だからね。
相手が魔法使いなら近距離戦闘を挑めば?
近づくまでのリスクが管理できないから、それはパスかなぁ。相手の射程がどこまでかは知らないけど、相手の射程外から一方的に先制攻撃の方が正しいと思うよ。都合の良い壁もある事だし、さ。
そうして僕らはボスの姿とボス部屋の様子を確認し、それで満足して撤退をした。
あとは戦術を詰めてみんなで共有化し、その通りに戦えるようにするだけだ。
魔法をベースに、全身を使って投げる砲丸は無駄だから使わずボーラなどを使えばいいとして。
あとは何がいいかな?




