ゴブリンの集落巡り②
今回は集落巡りという事で、仲間の殲滅した集落跡地、2つ目の所にやってきた。
ここの集落に足を踏み入れた回数はほんの2~3回ぐらいなので、実はどこに何があるかを把握していなかったりする。
最近は大集落以外も人口が増えつつあるので、全部を探し回るのはわりと時間がかかる。おそらくここが重要だろうというところだけ詳しく調べる事にした。
集落において、重要な場所というのはおおよそ真ん中にあることが多い。
文字通りの意味で中心地という奴だ。
付け加えると、門から大きめの道をまっすぐ行けば広場と一番大きな家に着くのだが、そこが集落の代表が済んでいる家になる。
古いリーダーというのは、人が集まりやすい場所を押さえるものなのだ。
そのあたりはここの担当者に案内をさせているので間違いない。
この集落は藁ぶきの竪穴式住居から木造建築が主流になりつつある変遷期のようで、長の家に着くまでの間、どちらの家も存在した。
あと、倉庫っぽい建物は高床式倉庫となっており、収穫物を収めている。僕にも報告があったけど、最近は集落を潰した後に保存されていた収穫物を回収し、家畜の餌として使ったりもするようだ。
ただ、その保管物の中には塩が無く、この森にいるゴブリンは塩分を塩の形で摂取していない可能性が高かった。
残念ながら塩はゴブリンを襲っても手に入らないらしい。
集落の長の家を漁りに来た僕たちだけど、家の中には、特にめぼしいものは無かった。
もともと刀の皆もここを探索しているので、特に変わった物があれば僕の方に報告が来るように指導しているのだ。だから有用なものや目を引くものが無いのは当然と言える。
それでも何か見落としが無いか、ホームや森しか知らないゴブリンには分からない、何か地球産っぽい物が無いかなと思ったんだけど。空振りのようだ。
しょうがないので、ドローンを使って上空から映像を撮り、何かなさそうかを確認する。
さすがに歩き回って探し物をするのは無駄が大きすぎるからね。
そうやって上から確認してみても特に何も見つからない。
僕らはこれ以上この集落を探っても何もないだろうと判断し、撤収することにした。
2つ目の集落がはずれだったけど、翌日には3つ目の集落にもやってきた。
ここがハズレの場合は大集落しか調べるところが残らないので、ぜひここに何かあってほしい。
ここの担当者の案内で、前と同じく長の家から漁ることにした。
すると、ここには猪の皮を使って作ったであろう、皮の紙が存在した。羊皮紙ならぬ猪皮紙とでも呼べばいいのかな? 紙だから紙といえばいいか。
「文字、かな? よく分からないけど」
問題は、描かれているのが絵ではなかったという事。
象形文字なのか楔形文字なのかよく分からないけど、とにかく独自言語っぽい何かが書かれている。
絵ではない、と思う。
「持ち帰って調べるしかないよね。映像をネットに流せば何かわかるかも」
僕は言語学など専攻していないし、紙に書かれている文を自力で読むことは諦める事にした。
こういう時は人を頼る方が良いよね。餅は餅屋に、だ。
他にも何かないか調べてみたけど、それ以外にめぼしいものは見つからなかった。
僕はゴブリンの文字が書かれているであろう紙を戦利品として持ち帰り、日本に戻ってからその内容をネットに流すのであった。




