独立部隊『出雲』
自分専用の直属独立部隊という事で、幹部とは別枠の専用人員を5名ほど確保してみた。足りなければ後で追加申請をする。
基本はゴブリンだけど、オークの雄も1匹参加する事になった。
僕の直属がゴブリンだけだと、将来的にゴブリンを贔屓しているとか言われかねないからだ。これは誾と静の両名から要請を受けての決定である。
ちなみに、この部隊は幹部を剣聖関連で名付けその他を刀と呼ぶ事から、『出雲』と命名した。
砂鉄の産地で有名だった場所として、ふと思い付いただけなんだけどね。
ちょっと迷ったんだけど、出雲のメンバーにはそれぞれ一つ、スキルの付与を行う事にした。
贔屓と言えば贔屓だけど、僕の実験や研究などを手伝うのだからしょうがない。日本語ぐらいは覚えさせるために頑張らせるけど、全員、何らかのスキルを覚えさせるつもりでいる。
欲しい未習得スキルはちょうど5種類なので、1匹一つでちょうどいい。後は互いに教え合うのを前提とする。
まず最初となる1匹のゴブリンに≪氷魔法≫スキルを付与してみた。
もう夏の始まりなので、涼を取るためにも、まだ誰も覚えていないスキルを覚えさせようと思ったのだ。
本格的に暑くなる前から練習させ、
EPの方はアタック一回につき1匹分は確保できるけど、逆を言えば全員にスキルを与えるのはアタック5回分が必要になるわけで。500万円分の出費と言い換えられる。
それだけのEPがあれば川を拡張して魚の種類を増やせるんだけど……頑張ってもらって元を取るしかないよ。
次は≪雷魔法≫で、その次は≪樹木魔法≫と魔法系を三つ続け、≪闘気≫に≪診断≫と、今のところ誰も手を出していない分野をメインにする。
この中では≪診断≫だけが自力獲得できそうに見えるけど、診断って相応の知識を要求されるからね。下地ぐらいはEPに頼っていいと思うよ。
こうやって何のスキルを取るかだけ先に決めたけど、1つ1つのスキルの事を考えると、「持ってない、取るのが大変そうなスキルを覚えさせるだけ」で「チームとして行動する意味が無い」のが問題だ。
直属部隊 → EPでスキルを取らせる → 欲しいスキルを優先
という流れのため、途中で目的と手段が変わってしまったのがよく分かる。
言い訳をすると、一つ一つのスキルに目的があるんだけどね?
≪氷魔法≫は涼を取るため。
≪雷魔法≫はドローンとかのバッテリーの充電ができないかなって思ったわけ。
≪樹木魔法≫なら畑関連。
≪闘気≫は純粋に戦闘能力の底上げ。
≪診断≫は病気対策で健康管理。
欲しい理由はあるんだよ。
ただ、部隊のまとまりが無くなっているだけで。
……行き当たりばったりなところがあるのはいつもの事かな。
多少の計画性とその場の思いつきは僕の習性だし。改善した方が良いのかもしれないけど、そこまでガチで考えなくともいいだろう。
何が最善かは、やってみなければ分からない物だし。
基本方針を「情報がないスキルの検証」って考えれば、悪くないんじゃないかな。
対外的にはそういう事にしておこう。




