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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
トライブ・オーヴァー
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魔法処理(予定)

 トイレ関連は、ネットでかなりの情報を仕入れてきた。

 今回どうにかしようと思っていたわけじゃないけど、そのうち手を付けるつもりで準備していたのだ。


 一番欲しいのは下水設備なんだけど、下水道を作るノウハウを僕が持っているはずもない。昭和初期の日本を参考に、くみ取り式のトイレを作るのが無難だという結論に落ち着いている。

 なので、糞尿処理施設をどうにかしたい。


 糞尿処理施設で問題になるのは、糞尿の分解だ。

 これはバクテリアとかそういった菌がやってくれるらしい。それを促進するためにおが屑を使い、拡販と温度管理をして発酵を促し、農地に使える土壌にするらしい。

 僕のところでは拡販や温度管理ができないから、それの分だけ処理可能な容量が少ないわけだ。

 現状、施設をどうにかするだけの技術力が僕らにはない。

 普通に考えれば、処理施設を広げてどうにかするしかないだろう。



 ならばと考えたのは、EPによる強引な方法と、魔法を用いた解決策だ。

 これなら僕らでも何かできそうな気がしてくる。




 まずは魔法による解決。


「そんなわけで、君たち2名には糞尿処理の担当を命ずる」

「「グギャッ……」」


 EPを使わずに済めばその方が良いという事で、≪土魔法≫スキル持ちを用意してみた。

 この2匹、ほとんど魔法を覚えたてなので、魔力も魔法もまだまだこれからの人材である。藤孝(魔法担当ゴブリン)の≪火魔法≫で温度管理というのは難しかったので、こいつらに埋め立てをやらせた方が良いと判断したのだ。


 僕が公衆衛生などの知識を広めたおかげで、サーヴァントのゴブリン達も糞尿を触りたくない、汚い、臭い物と認識している。

 そのため、2匹のテンションがかなり低いのが問題だ。

 僕は汚れ仕事の対価にと報酬で釣ってみたけど、それでも2匹のテンションは上がりきらない。

 それだけ糞尿の処理担当は嫌われている。



 まぁ、そのことも考えた仕事のやり方を練習させるのですぐに慣れると思うけど。


「まず、練習は目隠しをして行う。

 目視不可能な状態で自分の前方5mに穴を掘る練習をするんだ」


 土魔法の初期は、穴掘りぐらいしかできない。

 何かいきなり穴が開くというファンタジーな穴掘りではなく、土がゆっくり移動して穴になるという、非常に地味な絵面だ。

 これがいきなり穴ができるといった即効性の高い魔法であれば戦闘にも使えるんだけどね。足を引っかける事すら難しい速度でしか土が動かないので、戦闘への応用は熟練度を高めてからしか試せない。まだまだ先は長い。


 穴掘りを命じられたゴブリン2匹は魔力を高め、言われた事を素直に行う。

 距離の設定は未熟だけど、目隠ししたまま深さと幅が1mでほぼ円筒形の穴を作った。よけられた土で周囲が盛り上がっている。


 これにかかった時間は2分ぐらいだ。人力よりは早い。

 ただし、たったこれだけの作業で2匹の魔力は空っぽになっている。



「じゃあ、目隠しを取って。

 全快の半分ぐらいまで魔力が回復したらもう一回、掘った穴を深くするように」


 彼らの魔力の回復にかかる時間は、話を聞いた限りだと30分ぐらいでいいらしい。今回はその半分の15分後にもう一回と、やる事も付け加えて宣言しておく。


「「グギャッ!」」


 今日のところは糞尿に関わらなくていいと分かったゴブリン2匹はようやくテンションを上げ、元気よく返事をする。

 次のステップは穴に泥を入れて、泥を避けながらさらに穴を深くする練習になる事も伝え、僕はこの2匹に「後は各自練習するように」と伝える。



 この2匹への仕込みはこれでいいだろう。

 この2匹が使い物になるまでは、僕がその代わりをしなくちゃいけないけどね。


 上手くできれば良いんだろうけど、なぁ。

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