ゴブリン大集落の変化
アタック75回目。
今回はゴブリンの大集落を攻めに行くよ。
『骸骨の迷宮』は刀に任せ、3泊でオークが仲間にできるか試してみる事にした。
よくよく考えてみると、僕が不在の状況で宝箱を開けるのは初めてだったりする。もしかしたら面白い結果が出るかもね。
引率という事で、こっちのパーティは鞍馬にリーダーをお願いしたよ。
そんな訳で、初期メンバーの5匹を連れてゴブリン戦だ。
本当は義姫も連れてきたかったけど、義姫は妊娠中だからね。そろそろ出産だし、連れてくるわけにはいかないのだ。
「む。壁の強度が上がっているね」
「長様。最近手に入る敵の武器は、質がかなり向上しています。私たちが戦った事のあるゴブリンとは、もう別の種族と思わねば不覚をとるやも知れません」
僕らは大集落の近くに行き、その様子をドローンで確認している。
そして、大集落の様子が以前とは全く違う事に驚いていた。
まず、壁が強固になっていた。
以前は隙間だらけの低い柵で、成長しきった猪ぐらい大きい獣であれば防げたかもしれないけど、少し体が小さい動物であれば侵入し放題だった。
その壁が板張りの、隙間の無いものに作り替えられていた。
板の厚みはそこそこで、10㎝か15㎝か、たぶんそれぐらい。槍やら剣といった軽めの刃物では破壊するのは難しいだろうね。斧やハンマーなら簡単だろうけど。
もう一つの変化は、ゴブリンたちの装いだ。
以前は弥生人のような簡素な服を着ていたんだけど、ズボンを履くようになり、ついでに胸のあたりを覆う木製の鎧のようなものを身に付けていた。
手にする武器は相変わらず槍だけど、以前の素人作といった物ではなく、ちゃんとした作りになっている。
まぁ、武器の方は信綱経由で見た事があるんだけどね。防具の方は知らなかったかな。
あとは家が竪穴式住居から、木造建築になっていた。
三角錐のような家から箱型の家へ。
細かい事はよく分からないけどね。時代が弥生時代から飛鳥時代になったみたいだ。
間の古墳時代はよく分からないので、暫定で飛鳥時代的になったと思っておく。
最後に。
村が街といえる規模になりつつある。
人口が増え、畑が広がり、ゴブリンの数が増える。
厄介だね。
これ、もう一度祭壇を目指せって言いだすと、前回のような作戦をとっても攻略しきれない可能性が高い。
刀には、一当てして逃げて、追ってきた連中を殺すだけに留めろって言い含めてあったから被害も出さずに何とかなったわけだけど。
攻め込むのは無謀の極みかな。数の暴力に押される未来しか見えない。こうなると催涙弾もよほど上手くやらないと押し切られるよ。
ただ、僕らは別に無理に攻め入る必要はないし、全滅させるわけでもない。
他の連中にやらせるように、一当てしてから出てきた連中を潰すだけでいいだろう。
ちょっと気になったのは、大集落がこんな進歩を遂げた中で、他の集落はどうなんだろうという疑問。
必要はないけど、この機会に昔懐かしの集落巡りでもしてみようかな。
昔と言っても体感でだいたい1年前の話なんだけどね。




