≪神託≫
さて。
新たに仲間に加わった白オークだけど、彼女の種族はただの『ホワイトオーク』だった。
つまり、種族的には何の変わり映えもない、ただのオークと言っていい。
では3泊もした、その価値はどこにあったのか?
それはもちろん、スキルやアビリティの面での強さであった。
スキルを確認した僕はこの白オークに対し、『静御前』の名前を付けることを決めた。
このスキルを見れば、だれでも名前付きにすることを考えるだろう。
≪神託≫
このスキルこそ、彼女がスペシャルな理由であった。
「処女限定スキルとか……鬼だねぇ。このことが公になると、女性蔑視だの前時代的だの、騒ぐ人も出そうだ。
それに、鞍馬の落ち込み様が酷い」
宗教的に、処女を特別視する考えっていうのはよく聞く話だったりする。
巫女さんは処女限定だし、処女の生き血を好む吸血鬼や、処女の髪を織って作った布やら、「処女」という物を特別視する風潮が昔はあった。
その根拠を作っていたのは血統統制というか、王侯貴族的な血筋を重視する考えなんだろうけど、今の時代では当たり前だけど「前時代的」と言われて仕方のない考え方だったりする。
まぁ、スキルの前提条件に性行為禁止という制約が付いている以上はそれを守りたいわけで、そうなると鞍馬は彼女と夫婦になることができないわけで。
期待していた分だけ、出会いに喜んでいた分だけ、鞍馬の落ち込み様はそりゃあもう酷いものだった。
精神的ショックで寝込むとか、リアルでお目にかかったのはこれが初めてだ。
この≪神託≫というスキル。その効果はとびっきりだ。
『現実世界の30日に一度、神へ問いかけを行い、それに対する言葉を賜ることができる。
ただし、必ず回答があるとは限らない』
神の所のルビにツッコミを入れたい気持ちはあるけど、使いようによっては凶悪と言ってもいいスキルである。
攻略情報、システム的な情報を引き出すことができれば、それは間違いなく今後の助けになる。




