壁の豚
悪ガキどもを軽く躾けたけど、よくよく考えてみれば、集団生活ではよくある話だった。
人は一定以上の数が集まると、どうしてもその一部が腐ってしまう。
あの悪ガキどもは、きっと社会や種族的な何かによって生み出された必要悪だったのだ。
とはいえ僕らがそれに仕方が無いと言う必要はなく、悪さをした子供には鉄拳制裁を行うのが大人の務めなんだけどね。
子供との対話?
言葉と拳と精神的圧迫の包囲作戦で分からせるべきだと思うよ。特に幼いうちは。
言葉で分からせろって言う人もいるけど、今の僕には拳骨も必要なんだよ。そういう、子供に言葉で分からせるのにも経験が必要で、それを持たない僕には暴力も必要と。
出来ない人間には出来る人間の言い分なんて聞けないと分かってほしいね。
一部、僕がはっちゃけた為に微妙な空気になりはしたが、豚骨ラーメンの宴はそこそこ盛り上がった。
が、1匹だけその輪に加われないオークがいた。
いや、オークは1匹しかいないんだけどね。
だからこそ、鞍馬は宴を心から楽しめなかったわけだけど。
現状、鞍馬はオンリーワンだ。
オーク系種族は鞍馬しかおらず、誾や白ゴブ姫のようなゴブリンの進化系や亜種とは違う立場にある。
ぶっちゃけ、他の連中とはコミュニケーションが取れないため、話し相手がマジで誰もいない寂しい状態なのだ。
僕はある程度なら鞍馬とコミュニケーションが取れるけど、それはあくまで「なんとなくこう言っているだろう」というのが分かるだけだ。言葉が通じているわけではない。
ここ最近は多少の配慮も必要だろうと、オーク種を増やすために宝箱の時間待ちを何度か試してみた。
しかしだ。
オーク系モンスターが出てこない。
物欲センサーに引っ掛かったのか、同じぐらいの時間を試しているが、宝箱から出てくるのはただの白ゴブだけ。オークではない。
悔しいけど、世の中は大体そんなもの。
すでに3回ほど失敗しているので、今度は時間を延長して見ようかと話し合っている。
あと、出てきた白ゴブは全員雌で、雄は一匹もいない。
そしてレアっぽいスキル持ちもおらず、魔法スキルに至っては皆無だ。誰も魔法を覚えていない。
この結果には作為的なものを感じるけど、ここまでは初回ボーナス的なサポートが入っただけだと思っている。
結果を見れば鞍馬はフロア攻略にとても役に立ったので、運営がダンジョンで詰まったプレイヤーのためにフォローしているんだなと、そう思うわけだ。
なら、1泊した場合が白ゴブ姫、2泊待機した場合がオークの鞍馬として、3泊したら何が出るんだろうね?
オークの次のモンスター。
オーガかな?
もしそうなら、あんまり嬉しくない、かな。




