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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
オーヴァーランド・サバイバー
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フロア3の中ボス⑤

 道中でも鞍馬の魔法は活躍した。

 一瞬で、遠距離攻撃で敵の数を減らせるっていうのは、とても大きい。それが1日8回だけのモノであっても、戦闘の開始時に使ってもらうだけでずいぶん楽になる。

 戦闘時間が1割は減り、僕らは順調にフロア3へとたどり着いた。





 フロア3の中ボスの部屋の前。久しぶりに骨巨人の姿を観察する。


 大きさは目測で4m、人間の約2.4倍。見上げなければ弱点の胸や頭蓋骨が見えないほどの大きさだ。普通に見た場合、腰骨よりやや下ぐらいになる。

 武器防具の装備は無し。その分身軽で素早い可能性が高い。

 取り巻きはいない。上手くどこかでぐるっと回ることができれば戦わずに次のフロアに行くこともできるだろうけど、戻るときに戦うことになりそうだからその選択肢は採らない。余力のある行きの間に倒すべきだ。


 部屋の大きさは学校の体育館ぐらいで、骨巨人が暴れたとしても十分な広さがある。

 また、部屋に入る前の通路も骨巨人が移動に苦労するような場所がない。僕らで骨巨人が移動しにくくなるように道を崩す案もあったけど、上手く崩せなかったら生き埋めになる。危ない事はしないことにした。



 僕らは草を編んで作った紐で作った、頑丈なポーラをいくつも用意してきた。鎖だと飛距離が出ないので、それは諦めた。

 ついでに敵の気を引くために、砲丸投げの球も買ってきた。一般用7.2kgの鉄球、9000円。通販で即日お届け品があったので買っておいたんだ。

 遠距離攻撃用の手段として今後も活用する気でいる。


 戦闘手順としては、みんなは入り口から入ったら即座に広がり、ゴブリンは全員でポーラを投げる。僕は入り口手前から鉄球を投げる。

 全員、遠心力を上乗せするための回転数の最低値を測ってあるので、最短時間で投げる事ができる。


 とはいえ、相手の足の速さを考えれば、投げられるのは一回限りと思っていい。特に鉄球は2投目があると思わない方がいいだろう。念のために2発目も買ってあるけどね。

 後は散開し、狙われた奴が全力で逃げて、他のメンバーでポーラを3回以上当てるつもりだ。外したとしても回収して投げ直すよ。


 ポーラが何発も当たった後に鞍馬が魔法で攻撃。

 魔法を後回しにするのは、最初から使うと鞍馬が常に追いかけられる事になるだろうから。鞍馬の魔法は敵意を集め(ヘイトを稼ぎ)やすい、そう考えている。


 魔法である程度弱ったら頑張って殴るよ。

 安全を考慮し、できるだけ斜め後ろから殴る事を心がける。

 人間と同じ骨格なら、真後ろよりも斜め後ろの方が蹴られ難いだろうから。



 基本の作戦はこの手順だけど、何かあったら臨機応変、僕の指示を聞かずに行動するように伝えてある。

 敵の身体スペックが未知数なので、作戦通りにいかない可能性も十分に考慮すべき何だよ。





「では……作戦開始!!」


 僕の号令に従い、みんなが動き出す。僕も鉄球を持ってその場でグルグル回る。


 ……「作戦開始」を「オープンコンバット」とか言いたかったけど、ネタに走りすぎる気もなかったので普通に「作戦開始」にしておいた。



 グルグル回りながらどうでもいい事を考えていると、部屋に入った僕らめがけて骨巨人が突撃してきた。相手の巨大さは凄いプレッシャーを与えてくる。

 距離感が狂いそうになるけど、相手の頭ではなく足を見て位置関係、距離を把握し――投擲開始。鉄球を相手の頭めがけて放り投げる。計算通りなら、それよりやや下の胴体部分に当たるだろう。


 鉄球とポーラを投げつけられた骨巨人は慌てて回避行動に移ろうとするがそれも叶わない。

 僕の投げた鉄球は鎖骨をへし折り、腕の動きを封じた。

 ゴブリン・オークの投げたポーラは体の各所に引っかかり、動きをわずかに(・・・・)押さえつける。絡んだ場所からして効果はかなり微妙だと思った。使えなくなった腕と肋骨をつないでもあまり意味は無いと思う。



 いきなり腕を動かせなくなった骨巨人は、走る勢いで転んで、頭からダンジョンの壁に突っ込んだ。

 その突っ込んだ場所は入り口付近のため、かなり僕らに近い。

 実際、巻き込まれて誾がそこそこの傷を負った。


「続けてポーラ!!

 鞍馬は魔法を、義輝は誾を連れて待避!!」


 僕は即座に作戦の一部修正をする。

 相手の腕を奪ったのだし、ここから魔法を使い出しても問題ないと判断した。

 また、怪我をした誾を戦場近くに置いておくのも不味いため、隣にいた義輝を使って骨巨人から引き離すように叫ぶ。


 最後に、僕自身は相手が起き上がるまで時間があると思い、次段の鉄球を用意する。すぐに投げればドタマをかち割れるかもしれない。


 再びグルグル回りだした僕は、一投目で投げた鉄球を回収しに走る信綱を見た。

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