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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
オーヴァーランド・サバイバー
139/290

喫茶店にて

 その日は喫茶店のモーニングを食べに出かけた。

 コーヒーに朝11時までついてくるモーニングセットは、ちょっとお金を足すだけでかなり豪華になる。


 何もしなければトーストとゆで卵、ミニヨーグルトが付いてくる。

 250円足すと、トーストとヨーグルトが豪華になり、果物が追加され、朝からがっつり食べることができる。

 今日は更に180円のモーニングポテトも追加し、ゆっくりとした時間を過ごすつもりでいた。

 こうなるとお会計はブレンド400円から830円と倍以上の額になるけど、たまにはしっかり朝ご飯を食べるのも、いいと思う。


 普段、ホームでは手抜き飯が多いからね……。



「お待たせしました。ブレンドコーヒーです」


 店員さんが、まずはコーヒーを持ってくる。

 僕はミルクと砂糖、両方入れる派だ。苦みのあるブレンドコーヒーを甘くてまろやかなミルクコーヒーへと変えてしまう。

 ティースプーンでかき混ぜ、一口飲む。

 うん、美味しいね。


「お待たせしました。グランドモーニングです」


 一口飲む間に、高級デニッシュのトースト、他の食べるメニューが来た。これであとはポテトだけだ。


 デニッシュは焼き上がりの表面にバターが塗ってあるので、そのままで十分甘く、美味しい。サクサクした表面とふんわりした中の触感は、普通のトーストよりも数段上だ。それにバターに負けない香りが良く食べた後に香ばしい匂いが鼻に抜ける。

 ゆで卵は殻が付いたままで、自分で剥かなきゃいけないのがマイナスポイント。できれば剥いた状態でほしいと思っちゃうね。手間とコストの面から無理なんだろうけどさ、それならそれで、殻が剥きやすくなるように処理をしておいて欲しいと思うわけだ。剥いたゆで卵は、卓上の塩を振って食べた。手間はかかったけど、シンプルで美味しいね。


「モーニングポテトでございます。注文は、以上でよろしかったでしょうか?」

「はい。大丈夫です」

「ごゆっくり、どうぞ」


 最後のポテトが届いた。

 これは、塩を振っただけのポテトだ。カリカリ感は他の喫茶店のポテトと比べると微妙で、某バーガー店のポテトとあまり変わらない。けど、これはこれで悪くない。サクサクいけるよ。


 最後にストロベリージャムの乗ったヨーグルトとカットフルーツを食べ、コーヒーを飲み干す。

 幸せだね。

 今日のアタックの準備は終わっているし、少しゆっくりしていこう。店の席は8割程度の埋まり具合で、ゆっくりしていても問題なさそうだからね。


 そう思った僕は、スマホでニュースサイトや店の漫画本に手を出す。

 一人で来たからね。ゆっくりしようとすると、自動的にそうなるんだよ。



 僕がそうやってゆっくりしていると、店員さんがお冷を入れに来た。

 水も飲み干していたからね。

 僕はお礼を言って店員さんの後姿を見送るが、その姿にふと、デジャビュを感じた。


 そっか。

 あの店員さんはラーメン屋の人だ。

 ラーメン屋で相席をした女性二人組。彼女はその片割れだ。

 相席なんて滅多にない、インパクトのある関りをしたので体感時間で2ヶ月近くたった今でも思い出せたのだ。



 僕は思い出せたことに満足し、店員さんへの興味を失った。


 ここで会ったのもただの偶然。

 これ以降も顔を合わせる事はあるだろうけど、店員と客の間柄だ。それ以上踏み込んで関わることも無いだろうし、話しかける理由が無い。


 僕はこの出会いをその程度に考えていた。

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