表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーヴァーランダー  作者: 猫の人
オーヴァーランダー・ウィザード
123/290

中ボス戦③

 信綱が戦線離脱したけど、その代わりは僕が受け持つ。

 僕が一番体が大きく体重があり、一撃が重いのでスケルトン戦には最強キャラと言っていいんだよね。

 これまでは仲間の成長を促すために後ろに控えていたけど、戦況が不利になったのなら出し惜しみは無しだ。これ以上の怪我人を出したくない。


 RPGなどのゲームなら味方にダメージのある戦い方でも気にしないけど、リアルで戦っているのなら無傷で勝利こそが我が正義(ジャスティス)。すでに信綱が回復薬の世話になったからもう無傷とは言えないけど、ここから先は怪我人を出さない覚悟が必要だ。



 腕力がどれほどあろうと、金属装備をちょっと身に着けようと、僕とスケルトンの体重差はかなり大きいと思う。

 身長150㎝程度の骨の重量なんて知らないけど、僕の体重は70㎏ある。装備を含めれば73㎏になり、体の安定感が違う。感触の話になるけど、スケルトンの重量って装備込みで20㎏あるか無いか、かな? 半分どころか3分の1にも満たないと思う。

 当然、一撃に体重をしっかり乗せれば防御の上からでもスケルトンを吹っ飛ばせる。


 スコップによる横薙ぎの一撃はスケルトンの盾、胸から上、剣を持つ腕までをまとめて弾き飛ばす。

 腕は砕け、胸、首、頭が落下の衝撃でバラバラになる。

 それでもまだ動く下半身と背骨少しを蹴り飛ばし、次々に迫るスケルトンを倒していく。


 スケルトン、あんまり強くないね。

 雑魚モンスターの一角として語られる程度の強さしかないって事か。

 信綱たちは普通のゴブリンよりも強いのは間違いないけど、久しぶりで感覚のさび付いた近接戦闘と初めての敵と戦う不安、何をすべきなのか言葉でしか知らない状況下ではその実力をいかんなく発揮できなかったのだと思うね。

 少なくとも、実力的には信綱たちの方が上だと思うし、この環境下でも立ち回りに慣れさえすれば圧倒できるだけのポテンシャルがあるはずなんだ。

 このあたりは、数をこなして慣れさせるしかないね。


 僕の場合は、単純に相性と実力差かな。

 相性として僕に有利で、更に実力にも差があれば、この程度の事で慌てる事もないし迷う事もない。

 ただ、スコップを振り続ければいいだけだという話なんだよね。

 僕にとって、このスケルトン戦は作業に近い感覚なんだよね。





 戦闘時間はトータルで15分ほど。

 一部のスケルトンは頭を弾き飛ばしただけだからその後の処理に手間取ったけど、信綱の件以外は特に問題なく戦闘は終わった。


「剣と鎧……鍛冶が捗るね」


 今回の戦闘での収入は、スケルトンが装備していた剣・盾・鎧・兜が15セット。

 全部錆びていたり欠けていたりと綺麗なものではないけど、金属製ってだけで僕たちには価値がある。鉱脈なんかも見つかっていないし、打ち直して使えるようにできるといいね。


 問題は、持ち帰るのが大変だって事かな?

 これを持ったまま次のフロアに進むのは嫌だし、戦闘の邪魔になる。

 予定とは違うけど今回はもう引き返してしまおうかなと、そんな考えが頭をよぎる。


「撤収が妥当だと思うけど、誾はどう考える?」

「私も撤収に賛成です。このままここで戦い続けるよりも、一度戻って態勢を整えなおすべきかと」


 僕が誾に意見を求めると、誾は僕の方ではなく信綱と蔵人の方を見てそう返した。

 そうだよね。死にかけた仲間がいるんだし、そのメンタルケアを考えると探索と戦闘の継続は難しいか。


「よし。大量の戦利品が手に入ったから、今日はもう撤収するよ!!」


 信綱らが負担に思わないよう、僕は戦利品を理由に撤収を宣言する。

 剣や盾はまだいいけど、鎧と兜はかさばるため、多くを持って帰れない。仕方が無いのでそれぞれ状態のまだマシな4つを選んで持ち帰ることにした。



 今回の戦いが尾を引かないといいなぁ。

 帰るときに、僕はそんな事を考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ