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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
オーヴァーランダー・ウィザード
121/290

中ボス戦①

 僕らは次の階層(フロア)を目指していたけど、その歩みが遅い。

 罠を警戒しているため、普通に歩くよりも遅くしか移動できないからだ。


 だけど、その状況は信綱によって少し改善する。


「グギャッ!」

「おお。凄いな」


 信綱が≪罠発見≫スキルを手に入れた。

 アタック4回分、数日に及ぶダンジョン探索により、ようやくスキルが開花したのだ。

 これにより移動速度はわずかだけど向上した。

 覚え立てのスキルなので、どうしても熟練度が足りず、完全にスキル任せにする事ができないんだよね。



 そんな成長もあり、僕らは初日の探索、夕方頃にとうとう次の階層(フロア)への階段を発見する。

 ・・・・・・中ボスのスケルトンとともに。





 スケルトンは、当たり前だけど骨のモンスターだ。

 物理法則を無視して戦うやっかいなモンスターで、催涙弾などはもちろん利かない。身体能力が常人並みなので一般的に雑魚と言われているけど、常人と同じぐらいなら普通に強いと思う。

 とにかく油断はできない。



 中ボス部屋は、高校の教室の4倍ぐらいの広さがあった。

 その中央にスケルトンはたむろしており、入り口とは部屋の反対側に下へと続く階段が見える。


 中ボス部屋にいるスケルトンの数は15体。

 全員が錆びた金属装備をしており、剣と小さい盾、後はヘルムとブレストプレートで身を固めている。小手や具足の類いは身につけていない。

 身長は僕よりやや低め。スケルトンはスケルトンでも、ゴブリン・スケルトンなのかもしれない。

 スケルトンは僕らの方に顔を向けているけど、部屋に入るか攻撃を仕掛ける前は何もしない。近寄ろうとさえしない。戦闘開始前の合図が無いので動けないという事だろう。


 初めて戦うスケルトンという事でちょっと慎重に考えていきたいんだけど、7対15では慎重も何も無いよね。戦うならハードモードが確定するよね。


 でも、まぁ。

 運良く(・・・)、敵は全員近接系みたいだ。まずは安定の遠距離攻撃から戦闘を始めようかな。



「攻撃開始!」


 僕の号令に従い、みんなで持ち込んだ大きめの石を投げる。

 迷宮内では都合のいい大きさの石が落ちていないので、これは外からの持ち込みだ。1()あたり3個の石を用意してきた。

 もちろん道中でも使っているし、使い終わった後は回収しているんだけどね。


 石は全てスケルトンに当たるんだけど、今ひとつ効果が薄い。

 投石のメリットはその射程だけで無く、打撃攻撃による内出血や頭や四肢の機能不全などといった副次的な効果も結構大きい。

 でもアンデッドであるスケルトンは骨の破壊による四肢の機能不全はともかく、その他の効果が一切無い。付け加えるなら頭と胸のあたりを守る金属鎧によって石が防がれてしまうのも問題だ。いや、骨の体に石を当てにくいって問題もあるね。

 とにかく、困った事に今までのような効果が見込めない。



 思い返せば閉所だからと催涙弾は使えずドローンも使いにくく、人数制限で数を増やしたゴブリンという数の暴力が使えず、投石もこうやって効果が薄いとなると戦術の大幅な見直しが必要になってしまったように思う。

 迷宮探索はいずれする事になると思っていたけど、ここまでやりにくいとは思わなかった。迷宮は開けた森での戦いの経験がほとんど活きない残念な戦場だよ。



 愚痴はともかく、せっかくの投石だったのにスケルトンを1体も落とせずに接近を許す事になった。3回分の石があるけど、距離の問題で1回しか投げられなかった。

 あとは、僕らはスコップを構えて、剣と盾を持ったスケルトンの得意そうな近接戦闘に付き合うしかない。


 やれやれ。

 近接戦闘は怖いからやりたくないんだけどね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ~ やれやれ。 ~ 近接戦闘は怖いからやりたくないんだけどね。 このモノローグだけ読むと、典型的なチート持ちのやれやれ系主人公にしか見えないけど、実態はよわよわ主人公なのがとても良い。
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