ステージ2『骨の迷宮』
誾のステータスだけど、一部のスキル表示がバグってまともに読めなくなっている。
読めないスキルは3つ。
うち1つは間違いなく≪回復魔法≫なので、分からないのは実質2つだ。
こういった、サーヴァントのスキルが分からなくなるっていうのは、マスターである僕とサーヴァントである誾の間に「格の差」があると発生する現象みたいだ。あと、僕が該当するスキルをあまり詳しく知らないっていう条件もあるみたい。
無茶苦茶強いモンスターをサーヴァントにすると稀に見られる現象で、未知のスキルとして実践の中で効果を理解し、名を知ることになるって話だ。
誾から直接聞こうにも、本人も何ができるか今一つ分かっていないので調べる方法が無い。
つまり、今は、誾の方が格上……。
へこむね。
それはさておき、今回は次のステージに向かう。
これまでの『ゴブリンの森』から『骨の迷宮』になる。
残念ながら海とか塩の期待できるステージじゃないけど、もし『骨の海』『死の海岸線』なんて言われたら見た目からして気が滅入るだけで、海水は塩の原料にしたくないだろうし、そこはもう諦めることにした。
次こそは。
そう考える方が良いよね。
初めてのステージ、最初のフロアに足を踏み入れると、そこはウィ〇ードリィを思わせる地下迷宮だった。
真っ暗で何も見えず、懐中電灯で足元を照らしながら出ないと歩くこともできない。
天井や壁はボロいレンガで覆われており、縦横一辺の長さはだいたい5m。2匹並ぶのが限界で、3匹並べれば互いの武器が邪魔して戦闘にならないと思う。
床は踏み固められた土で、ところどころに白い雑草が生えている。あまりデコボコしていないので、台車などを持ってきても大丈夫そうだ。オフロード仕様の自転車というのも……無いか。
最初のステージでこういった迷宮系統をひくと罠の類は無いんだけど、2ステージ目からの迷宮系統はほぼ確実に罠があるという。自転車で移動しようものなら、ほぼ間違いなく引っ掛かると思うよ。
ありてゆっくり確実に、その方がきっと無難なんだよ。
あとは某TRPGに倣って7フィート棒でも用意しようかな?
「明かりは誾と義姫が。
誾は信綱と前を警戒、義姫は卜伝と後ろを警戒。蔵人、義輝は僕と真ん中で前を警戒だけど、前で何かあれば蔵人が誾と交替、後ろで何かあれば義姫と義輝が交替すること」
「分かりました」
暗いのでハンドサインによる指示出しはせずに口頭で指示を出す。
≪暗視≫スキル持ちのゴブリンにとってこの程度の暗闇は問題ないんだろうけど、僕には全く分からないからね。念のために指示を口に出している。
次回以降のためにヘッドライト付きヘルメットとLEDランタンを買っておこう。照明関係の強化は必須だ。ここでは暗くてまともに戦えない。
僕らは信綱と誾を先頭に迷宮内を進む。
まっすぐの道がしばらく続いていたけど、途中で二股だったり支道だったり、分岐点が何度か見つかった。
その都度マッピングをして、迷宮の地図を作りながら僕らは進む。
そうしてゆっくり歩くこと30分。
僕らの前に白い人型をしたモンスターが現れる。
とうとうこの迷宮のモンスター、ゴブリンが現れたのだ――――って、なんでだよ!?
なぜか僕らの目の前には、見慣れたゴブリンの姿が。
目をこすっても、何をしても、目の前にはゴブリン。しかも全裸。何の装備も無い、ちょっと地上よりは白っぽいだけのゴブリンが5匹ほどいる。
うん。
もういい。
スケルトンだけでなくゴブリンも生息しているって事で、ファイナルアンサー。それ以上考えるだけ無駄だと思う。
足音が聞こえてきた時から初スケルトンに期待して胸がドキドキしていた僕のがっかり感は半端ないけど、とりあえず、敵は潰す。
僕らはあっさりゴブリンを皆殺しにして先に進むことにした。
スケルトンとはまだ戦っていないけど、ここが骨の迷宮っていうなら、まず間違いなくいるだろう。
できれば1体ぐらいはサーヴァントにして使い倒したい。
例のごとく、どこかに固定の出現ポイントがあると思うし。
そこを探して回収しよう。
スケルトンは維持に魔力が必要っていう話なのでゴブリンと同じようにはいかないけど、考え方を変えるとサーヴァントにするだけで魔力を鍛えることになりそうだし?
無理のない範囲で探すとしよう。




