表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーヴァーランダー  作者: 猫の人
オーヴァーランダー・ウィザード
116/290

直視しがたい話

 アタック62回目。

 ホームの方は、あれからいろいろとあった。





 ステージクリアの報酬は、以前考えていた村作りに全部使った。


 本当なら少し余る予定だったんだけど、調子に乗ったわけじゃないんだけど、『畑』も一つ購入してみたんだ。

 これでEP交換も品に幅が出るし、何か有用なものでもあればいいなって考えたんだ。


 そしたら、あったんだよね。

 『迷宮大豆』って、謎植物が。

 聞いた話では普通の植物だと上手く育たないけど、ダンジョンというか、この世界に自生している物なら多分大丈夫だと思う。

 味の方は、そんなにたくさん交換できないから『畑』で上手く育つことを期待しているよ。



 もうちょっといろいろと手を出したけど、そこはまぁ、細かい事だからさ。

 農業――NOUGYOU?――の成果を見てからになるけど、しばらくしたら子作り解禁かな。そこはゴブリン一同、すごく不満みたいだから。





 その他で大きい出来事は現地自作の武器がみんなに配備されたことだろう。

 鉄が手に入ったことでホームでの鍛冶も本格的にスタートできそうだし、そこは良かったと思うんだけど、大集落で手に入る鉄の質が良くないんだよね。鉄の精製技術はまだ未熟みたいだ。

 大きく不満が残る話でもあり、今後に期待したい面もある。


 製鉄関係は僕も詳しくないし、適当な奉納鍛冶でも見に行こうと思う。

 お隣の関市で新年にやってるみたいだからさ、ちょっと車で行けばいいだけなんだよね。

 ネット情報も悪くないけど、ナマの鍛冶だって見たいじゃないか。





 あとは採掘と称して大集落にちょっかいをかけ、釣り野伏で出てきた所を叩き、相手の槍を奪うのをルーチンにした。

 小集落3つを殲滅するのに加えて大集落への釣り野伏をすると、収入は800Pを軽く超え、900Pにちょっと届かない所まで貰えるようになった。

 

 収入増加は出来ることが増えるって事でもあるから、鉄も欲しいし今後も継続していきたいな。

 EPが手に入って、ゴブリンを鍛えられて、鉄まで手に入る。


 世紀末的思想だけど、強い者が弱い者から奪える環境って、強い者にしてみれば素晴らしいよね。

 そりゃあモヒカンさんもヒャッハーって叫んでモヒっ(略奪し)ちゃうよ。

 狩猟民族は食料供給の不安定さから大集団になるのが難しいけど、モンゴルの騎馬民族みたいな例もあるからねー。農耕民族相手に安定して奪えるなら高効率だったりするわけだ。


 このまま頑張れば、日収(・・)100万円(EP1000)になっちゃうね。

 ……全然実感がわかないんですけど。





 さて。

 そろそろ現実逃避はやめよう。


 僕は現状のまとめをした紙の資料から顔を上げ、誾の方を見た。


 誾はいつものゴブリン顔でニコニコと僕の方を見ている。その姿(外観)に変化は見られない。

 ただ、種族が(・・・)変わっただけ(・・・・・)だ。



 『ゴブリン・リターナー』


 ネット上に一切情報の無い、新種である。

 リターナー(生還者)なんだし、生き返ったのが直接の原因だと思うんだけどね。僕以外にもゴブリンを生き返らせたって話は無いわけではないから、それ以外にも条件があると思うんだけど。理由が全く分からない。

 一人で調べるのには限界があるから、もういっそ情報は秘匿したままで、詳細を知ることは諦めようと思う。無理をして知るために情報を流すと、何かとんでもない事になるかもしれないし。危ない橋を渡る気にはなれないよね。冒険者ギルドにもこの話はしないと決めたよ。



 種族が変わったことが理由か分からないけど、誾は回復魔法を使えるようにもなっている。

 普通、回復魔法ってプリーストとかシャーマンとかアコライトとか。もっと別な種族に適用される特性じゃないかな?

 リターナーの意味が今一つ分からない。



 いろいろと考えたけど、分からない事は分からない。

 人間、割り切りって大事だよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ