表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーヴァーランダー  作者: 猫の人
プロ・オーヴァーランダー
107/290

まずは計画

 ホームに戻った僕は、大集落の情報から、攻略方法を考える事にした。



「まず僕が見た範囲の、集落の人口」


 大集落の広さは尋常ではない。

 畑などがあるため、奥行きが1㎞以上はあると思う。

 で、その入口周辺には竪穴式住居っぽい、円錐の建物がいくつもあった。

 数の方は入口付近だけで30を数えたところで止めたけど、集落の奥の方にもぽつぽつと家があった。奥の方にあったのは畑を管理するゴブリンの家なんだろうなって思ったよ。


 家の数のトータルは100以上あるのは間違いない。

 1戸当たり4匹と考えると、最低でも400匹はゴブリンがいるはずだ。もしかするともっと多いかもしれない。まずは500匹と想定しておく。



「常備兵による警戒網が厄介だった」


 大集落は周囲をぐるっと柵で囲っているのが見えた。

 で、ゴブリンが出入りする門に相当するところには門番が4匹立っていて、門から動物が入ってこないように周囲を警戒している。

 あと、嫌な話だけど、柵の内側と外側、それぞれ3匹の武装した集団がいくつも巡回をしていた。猪とかは穴を掘って柵を越えるというし、その対策の為だろう。合理的すぎて嫌になる。


 敵ゴブリンの武装は、槍と胸のあたりを覆う皮の鎧。

 槍は金属の穂先を持ち、穂先は持っていたゴブリンの頭よりちょっと小さかったから15㎝ぐらいの大きさかな。包丁サイズより小さい?

 皮の鎧はソフトレザー()なのかハードレザー()なのか。パッと見だけでソフトレザー(未加工)だと思ったけど。鎧で投石のダメージは大幅に削られると思う。まぁ、頭に当ててやればいいだけの話だし、そもそも催涙ガスは防げないから特に問題にならないと思うけど。

 あとは……鎧下じゃないけど、白い服を着ていた。一枚の大きな布の真ん中に頭を通す穴をあけ、腰でベルトのように縛るタイプの簡素な服。それでも、僕らが作っている服よりは質が高そうな事に、わりとムカついてしまった。嫉妬だね。しょうがない。


 ちょっと気になったのは、盾持ちがいない事。

 盾って人間同士の戦争のように、同種との争いが無いと出てこないって事かな? そのあたりは武器防具の発展の歴史になるから、僕にはよく分からないんだけど。

 あと、サンダルっぽい靴モドキを履いていたけど。あれは走れなくなりそうな代物だったね。歩く分には問題ないんだろうけど。



「鍛冶場は見付からなかったけど。それは、今回は関係ないかな」


 出来れば古代式製鉄関係の情報も欲しかったけど、煙の上がっている場所が無かったので、どこで鍛冶をしているのか分からなかった。

 可能ならだけど、あいつらの鍛冶場を見学したかったんだけどね。で、持っていけそうなら刀も母ゴブリンも総動員して鍛冶に使える物を一通り持っていきたいんだけど。

 悔しいけど、ネット知識ではよく分からないところが多くて、ホームでの鍛冶は暗礁に乗り上げているんだよねぇ。





 続いて戦力分析。


 敵戦力は、300匹ぐらいの戦闘要員がいると思っていいと思う。

 古代とかだと兵農分離が進んでいないから、大人は全員戦えると思っていいんだよね。


 あとは強敵、エリートクラスのゴブリンが相当数、100匹ぐらいいても不思議が無い事と、ホブゴブリンが10匹ぐらいいるかもしれないって言う不安。

 もしかすると、あの規模だし、ゴブリンキングなどのさらなる上位種がいる可能性も頭の片隅に置いておかないといけないかな。


 僕が見た敵の武器は全部槍だけど、あの規模になると弓を持っている奴がいても不思議じゃない。

 遠距離攻撃の手段はあると考えておこう。



 現段階では推測推論ばかりになるので、情報収集のために双眼鏡を持たせたゴブリンを監視に派遣した方がいいかな。

 その為の拠点作りも検討することになるけど……監視ポイントは双眼鏡の性能の限界もあって、500mぐらいしか距離を取れないんだよね。情報量を落として1㎞ぐらい距離を開けさせると監視させる意味が無くなるかもしれないからなぁ。

 もっと性能のいい、遠くまで見通せる望遠鏡を買った方がいいかな。戻ったらネット通販で調べておこう。 





「攻略方法はどうしようか?」


 相手は大集落だ。規模がかなり大きい。

 しかい相手は守る範囲が広いって考えると、陽動などの手段が非常に有効になる。刀がどこかに敵の大集団を引き付けさせることで、僕らが潜入するっていうのは悪くない手だと思う。

 それでも祭壇には警備の兵が相応にいるだろうけど、僕の目的は祭壇中央の魔法陣のみだ。敵を全滅させる事じゃない。強引に突っ込むことは不可能じゃないはず。


 少数で入口の家が密集しているところに火災を起こし、別のポイントで敵を強襲。敵と一当てして撤収させ、敵をおびき寄せる。

 二重の騒ぎで作るその隙に本命の僕らが祭壇へと行き、魔法陣を潜る。

 陳腐だけど、僕らの頭でも出来そうなことっていうと、これが限界だと思う。


 逃げて囮になる連中がきついだろうけど、催涙弾とか撒き菱とか竹の楯とか、とにかく有効そうな装備を準備すればなんとかなる……と思いたい。

 これについては要練習、かな。いつもの集落殲滅の時に練習しておくのがいいよね。





 僕は信綱や誾に考え付いた事を話し、細部を詰めていく。

 出来れば本命を使っての練習もしておきたいって言われ、それもそうかと大集落を相手に、軽く戦う事も検討しておく。


 今度はわりと命がけになるかもしれない。

 そう思うと、僕は結構緊張してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ