大集落
このまますぐに帰るべきか?
相手の数の多さ、技術力に恐れを抱いた僕の頭に弱気の虫が囁く。
いや、全体を相手にしなければいいだけだ。少数が狩りに出るなど、襲える相手がいないとは限らない。まずは狙える相手を探そう。
僕はドローンを回収すると、バッテリーを交換して、再び周辺の探索を行うのだった。
探索をしながら、僕は考えをまとめる。
できれば、敵の装備などを奪いたい。
こちらの服飾技術よりも上なのだし、服などは手に入れられるならあるだけ欲しい。
それに、金属が手に入れば鍛冶ができる。鍛冶は是非やってみたい分野なんだよ。
襲うメリットはかなり大きい。
しかし、デメリットも大きい。
敵の装備が充実すれば、その分、敵は強くなる。命のリスク増大は見逃せない要素だ。
人間、死ぬときはあっさり死ぬ。油断は絶対にできない。
メリットとリスクのバランスを取ると、弓アリなら5匹まで、弓無しなら8匹までとしておこう。
一対一ならたぶんこっちが上だけど、遠距離攻撃が混じると分からなくなるからね。いないと思いたいけど、まぁ、とにかく外に出ている連中を見つけてから考えればいいか。
「見つからない……」
それから一時間。
バッテリー交換3回目をしながら、僕は愚痴を口にする。
バッテリーはこれで打ち止めで、これで見つからなければそのまま撤収だ。
一縷の望みに全てを賭け、僕はドローンを飛ばしーー賭けに失敗した。
どうやら今日は、こちら側で狩りをしていないらしい。
害獣駆除、食肉確保。狩りは必ずやっているはずなので、これは単純に運の話だろう。もしくはドローンで見えにくい位置に隠れていたか。狩りをしているんだろうから、隠れられている方が自然かな。
とにかく、小集団のゴブリンは見つからなかった。
次は必ず戦って、相手の装備を確保しよう。
僕は次回の抱負を胸に、たいした成果を出すことなくホームに戻るのだった。




