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オーヴァーランダー  作者: 猫の人
プロ・オーヴァーランダー
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ボス?のいる場所

 特に理由があったわけではないけど、ホームから魔法陣でダンジョンに移動した後は、いつもと真逆の方向に進むことにした。

 どうせそのうちスタート地点から東西南北全てに移動するのだし、いつもの北上ではなく、南下する方が分かりやすく効果が大きい気がしたんだ。

 ちなみに、方位磁石は使えるよ。今いる森は富士の樹海みたいな場所ではないからね。



 僕は信綱たち幹部メンバー6匹を連れて未知の領域へと足を進める。

 フルメンバーなのはリスクと行軍速度の兼ね合いだ。このメンバーが一番動きやすく、戦力が大きい。

 これ以上増やすと、移動で足手まといになるんだよね。


「とはいえ、初日は何もない事が確定しているんだけどね」


 でも、スタート地点の周辺は採取の効率なども考えて、ちゃんと調査がしてあるんだよね。歩いて行ける範囲で知らないものは無いと思う。

 僕自身、ジャガイモとかは気が付けなかったけど、ずいぶん歩き回ったからね。襲撃しているところ以外にゴブリンの集落が無い事など、ちゃんと把握しているんだよ。


 歩き回ったのは往復することも考え、片道7㎞ぐらい。

 拠点は作らないけど未知の領域を探索するリスクを考えると、今日のところはそこから少し先に進むこともしない。

 夜間、襲撃のリスクは少ない方が良いからね。初日に遠出する気は無いんだ。



 そんな訳で、普段は一泊なんてしない場所でも、歩いたことのある辺りでさっさと休憩、寝ることにした。

 追加の周辺探索はもちろんするけど、宿泊すると決めた場所から追加で2㎞ぐらいしか歩かない。

 煮炊きのための煙が敵ゴブリンを呼ぶかもしれないので、煙の出ない発火剤を使って夕飯を作り、何事もないまま、初日は終わった。



 翌日。


 朝から南の方に向けてさらに10㎞ほど歩く。

 初日に比べると飲み食いした分だけ荷物がかなり軽くなっているので足が速くなる。

 10㎞の目標は昼頃には達成した。


「じゃあ、ここから先はドローンで確認するから。

 1時間の偵察が終わったら撤収するよ」


 昼ご飯を食べ終えると、信綱と義輝のコンビが周辺警戒、探索を行う。

 蔵人と誾、卜伝と義姫の4匹は僕の警護だ。

 ドローンを操作する僕は周辺への意識が散漫になるので、探索よりも警備の方が重視される。



 ドローンを空に飛ばすと、まずは高高度からゴブリンの集落が無いかを確認する。

 すると、今いる場所からさらに南に3㎞ぐらい行った場所に今までの、どの集落よりも大きなゴブリンの集落があるのを見つけた。


 規模は400匹ぐらいかな。3倍ぐらいの広さの集落だから。

 まだまだ縄文時代、狩猟民族であることを考えるとありえない規模だ。森の恵みを得るにしても歩いて行ける距離がネックになるので、100匹が一つの集落の最大規模のはずなんだけど?


 その答えは、すぐに見つかった。

 畑だ。

 麦か稲か何か知らないけど、畑らしきものが集落の近くにはあった。

 こいつらは狩猟民族(縄文人)ではなく、農耕民族(弥生人)であった。


 よく見ると、集落のゴブリンの中には織物らしき布で作った服を着ているゴブリンがいて、石ではなく鉄か青銅らしき金属の穂先を持つ槍を持ったゴブリンもいた。

 ぶっちゃけ、技術レベルが僕らよりも上の連中であった。

 恐ろしい事に僕らの持っていない金属精製技術や、織物技術を保有したゴブリンの集団だったのだ。





 こいつらと戦うのは危険だな。

 総力戦をするにしても、催涙弾をフルに使おうが、負ける公算が非常に高い。


 僕はそんな事を考えて、今後、こっちに足を延ばさないほうが良いかなと結論を出したところで、見つけたくないものを見つけてしまう。


 集落の中心に祭壇があったのだが、その中央。

 いかにも祭られているであろう神聖な場所に、光り輝く魔法陣が。

 次のステージに行くための魔法陣があったのである。


「嘘だろ……」


 僕の口から絶望の声が上がる。

 次のステージに行くには、あの集落をどうにかしないといけないらしい。

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