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プロローグ:厄災の少年
プロローグはとても短めです。
北歴410年 イチヨの国
静寂の中、トキの村で1人の赤ん坊が大きな産声をあげた。
「おやおや、男の子のようですな。」
「まあまあ、こんな大きな声を出して、元気な子ではありませんか。」
トキの村でこどもが産まれる頻度は少なく、その少年は親は勿論、村の人々たちにも大切に育てられた。
ーーしかし、その村は突然異変を遂げた。
天候の突然変異による農作物への被害。山の火災。そして、村民の突然変死多出。あまりにも異変が激しいと感じた村は、あるひとつの結論にたどり着いた。
『少年が産まれてからこの村は厄災に見舞われ始めている。』
少年の親は当然否定をした。我が子がそんな厄災を引き寄せているはずがない。偶然に決まっている。しかし、村の意向は変えることは出来ない。反抗した少年の親は、無惨にも殺されてしまう。村の人々は少年をも殺そうと考えたが、少年の怨念が残り続けては村に更なる被害を及ぼすかもしれないと考え、少年を村から追放するーーー…………