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おとなしあたー  作者: 音無威人


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39/50

私の顔はどうなっている?

 ――痛い、痛いよぉ。誰か助けて。



「……えますか。聞こえ……」

 誰? なんて言ってるの?

 頭がぼんやりしてる。もやがかかったみたい。

「聞こえますか、山田さん」

 目を開けると、知らない男の人がいた。

 ここはどこだろう。なんで私はここに。

「患者が意識を取り戻したぞ!」

 今、患者って言った? どういうこと?

「ここがどこだか分かりますか?」

「い、いえ」

「ここは病院です。あなたは事故に遭って、ここに運び込まれたんですよ」

 あぁ、そうだ。私、車にひかれたんだ。



「顔の包帯は数週間ほどで取れるでしょう。ただ……」

 どうしたんだろう。深刻そうな顔をして。何か問題でもあるんだろうか。

「驚かないでくださいね。あなたの顔は以前とは違っているかもしれません」

「え?」

 言っている意味が分からなかった。顔が違うってどういうこと?

「顔の原型が残ってなくて、手は尽くしたんですが、完全に元には……」

「そ、そんな」

 私が何をしたっていうの。なんでこんな目に遭わなきゃいけないの。

「安心してください。ひどい状態になっているわけではありませんから」

 安心なんてできない。私の顔はどうなってるのか、見るのが怖い。

 いったい私の顔は……。



「いよいよですね」

 顔の包帯が取れる時が来た。ドキドキする。どんな顔になってるのだろう。

「大丈夫ですよ山田さん。さぁ、包帯を取って」

 医者に言われるがまま、私は包帯を取った。

「さ、鏡を」

 手鏡を渡された。恐る恐る覗き込む。

「な、何よこれ!」

 違う。こんなの私の顔じゃない。

「落ち着いてください」

「落ち着けるわけないじゃない」

 手を尽くしたなんて嘘だ。ちゃんとした医者ならこんなひどい真似はしない。

「どうしてどうして、()()()()()()()()のよ!」


 私は――()()()()()()なのに。

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