キラーナンバー
物心ついた頃から人の頭の上に数字が見えた。両親に数字のことを聞いたら何のことと言われた。僕にしか見えてないんだとすぐに分かった。
大抵の人はゼロだった。初めは何の数字か分からなくて悩んだものだ。だけどテレビを見ているうち、僕はあることに気づいた。殺人犯の頭の上には必ずゼロ以外の数字が浮かんでいたのだ。その数字は殺した数と一致していた。
僕は理解した。頭の上の数字は殺した数だと。だから普通の人はゼロなんだと。分かってから僕は数字に注目するようになった。雑踏の中にゼロ以外の数字を見つけると怖くなった。
小さい頃はただ怯えていただけだった。中学に上がってからは警察に通報するようになった。イタズラだと思われたこともあったが、町中にいる数字持ちは未解決事件の犯人であることが多い。この能力があれば指名手配犯も見つけられる。僕は犯罪者の逮捕に幾度となく貢献した。表彰されたこともある。
だからだろうか僕はいつしか警察に憧れるようになった。人を殺した数が見える力は人々を救うために役立てるべきだと思った。
そうして僕は警察官になった。
男が通行人を刺して逃走したと連絡が入った。通行人は救急車が到着する前に死亡した。
目撃者捜しは他の人に任せ、僕は現場周辺を歩き回った。普通は犯人の特徴が分からないと捜すことはできないが、僕には数字が見えるという特殊な力がある。数字さえ見えれば、犯人の顔なんて分からなくてもいい。だからこそ僕は似顔絵や目撃証言に頼った捜査をせずとも良いのだ。
たとえ今回のことに関係なくても数字がゼロじゃないなら別の事件に関与している可能性はある。よーく数字を見とかないと。
ん? 1の男がいる。やたらと周りを気にしてるな。怪しい。
「おい、君」
男は逃げた。間違いない。犯人はこいつだ。
「待て」
男を追いかけながら、僕は救援を要請した。通行人を刺すような奴だ。追いつめられたら何をするか分からない。慎重にいかないと。
男が立ち止まった。行き止まりだ。逃げ場はない。観念したのだろうか。いや、油断してはいけない。救援が来るまでまと……。クソ、こっちに向かってくる。やるしかない。
「どけえええ!」
雄たけびを上げながら、男が襲い掛かってくる。
「がっ!」
男がタックルしてきた。態勢が崩れる。生暖かい。腹部にナイフが刺さっていた。
くそっ。こんなところで。
「容態は!」
「一刻を争います!」
「手術の準備を」
意識が朦朧とする。苦しい、痛い、寒い。僕は助かるのだろうか。
「患者は?」
「先生、こちらです」
誰かが僕の顔を覗き込んだ。
「手術を始める。メス」
あれ、この医者、100って書いてあ……。




