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おとなしあたー  作者: 音無威人


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31/51

人体素交換

 奇特なことを考える奴はいつの時代もいるもんだ。そいつは愛に飢えていた。一人の女を愛していたんだ。けどよ、そいつはその女の外見に飽きちまったのさ。

 つっても浮気をしたいと思っているわけじゃあない。そいつは女の中身を愛していたんだ。外見は二の次だった。中身はそのままで、外見だけを変えたいとそいつは考えた。

 普通の人間なら考えるだけで終わる。けどそいつは普通じゃなかった。実現できるアイデアを思いついちまったのさ。

 そう――地球を丸ごと仮想現実化するっていう突拍子もないアイデアをな。



 アバターって知ってるか? オンラインゲームで御馴染みのプレイヤーの分身さ。アバターは姿かたちを自由に変更できる。そいつは姿を変えられるという点に目をつけた。つまり人間の体をアバターにすればいいと考えたのさ。

 普通はできない。でもそいつは異常で天才だった。ものの五年ほどで実現間際にまでこぎつけちまいやがった。

 手始めにそいつは、一ミリの狂いもない精度で地球の仮想世界を作り上げた。次に作ったのは人工網膜だ。この網膜はバーチャルゴーグルの役割を果たす。仮想世界を見るためには欠かせない代物だ。



 バーチャルリアリティには欠点がある。それはバーチャルゴーグルをかけている間は現実世界を認識できない点だ。

 仮想世界にあるものは所詮仮想でしかない。現実にあるものじゃあない。仮想世界と現実世界のズレ、それはすなわち空間認識のズレでもあるわけだ。

 だがよ。問題はなかった。考えてもみろよ。そいつが作ったのは()()()()()()()()()()()だ。見えている世界は仮想でも、現実の地球と同じ感覚で動くことができる。

 つまり周囲の人間からは()()()()()()()()()()()()()()()んだ。



 でも一つだけ難点があった。それは現実世界における動きだ。人間や車、バイクなどの動く存在は、いかな天才でも完全に予測することは不可能だった。

 けどそいつはまたしても突飛な発想で問題点をクリアしたんだ。世界中の人工衛星システムをジャックしてな。

 衛星と地球の仮想世界を連動させ、人や乗り物、天候などの変化するデータを送らせる。変化するデータをリアルタイムで反映していけば、移り変わる世の中にも対応できるって寸法よ。



 これで準備万端。そいつは自分と女に人工網膜を移植した。

 ところがどっこい、そいつは最大の問題点を考慮するのを忘れてたのさ。

 それはいったい何かって? 決まってるだろ、仮想世界はあくまでインターネット上に作られたシステムだ。停電したらおしまい。まさにお先真っ暗って奴さ。

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